医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

日本人医師の服装に関する調査:何を着るか、なぜ着るか

A survey of Japanese physician preference for attire: what to wear and why

Yuki Yoshikawa,1 Takaharu Matsuhisa,1 Noriyuki Takahashi,2 Juichi Sato,1 and Nobutaro Ban3

Nagoya J Med Sci. 2020 Nov; 82(4): 735–745.
doi: 10.18999/nagjms.82.4.735
PMCID: PMC7719463
PMID: 33311804

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

医師の服装が患者に与える印象については、これまで多くの研究がなされてきた。診療圏にかかわらず、多くの患者は白衣を着た医師に最も信頼を寄せている。日本では、特にプライマリーケアにおいて白衣を着用しない医師が増加傾向にある。しかし、医師の服装に対する好みを調査した研究はほとんどない。そこで、日本の総合診療医の診療環境別の服装に対する嗜好を明らかにするために、医師の服装に対する嗜好と選択理由についての調査を行った。

対象は日本プライマリ・ケア連合学会認定の総合診療医794名で、メーリングリストから募集した。Web上でアンケート調査を実施した。服装は4種類(セミフォーマル、白衣、スクラブ、カジュアル)あり、それぞれを選択し、その理由も記述してもらった。

回答率は19.3%(n=153、男性112)であった。病院での普段の服装として白衣を選択した被験者が最も多く(52%),その主な理由は習慣や専門性であった.一方、診療所や在宅医療では、白衣以外を選択する被験者が多かった(病院提供:58%、診療所提供:71%)。診療所と在宅医療では、主に共感的に見せるためにカジュアルな服装を選択する被験者が多かった。病院での服装は、白衣を選択する被験者が多く(54%)、その主な理由は、白衣がプロフェッショナルであると患者が認識しているためであった。また、診療所や在宅医療では、白衣以外の服装がより適切であると考える被験者が多かった。総合診療医が診療場所によって服装を選択していることが示された。

結論
今回の日本人のサンプルでは、半数以上の開業医が病院以外の場所で白衣を着用せず、その傾向は特に在宅医療(診療所提供)の場で強かった。日本の開業医の服装は診療の場によって異なり、開業医はそれぞれの診療の場で特定のイメージを提示するように努力している。