医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

開業医が自分の診療所で医学生を教育する動機は何か?開業医が学生を教育する動機に関する質問紙調査からみた教育実習の獲得へのアプローチ

What motivates GPs to train medical students in their own practice? A questionnaire survey on the motivation of medical practices to train students as an approach to acquire training practices
Authors
Louisa DaunertSven SchulzThomas LehmannJutta BleidornInga Petruschke
Source InformationJune 2023, Volume40(Issue4) - GMS Journal for Medical Education

journals.scholarsportal.info

 

背景  
医師免許に関する新たな規定が施行される。これは、開業医の研修が、以前よりもはるかに大きく医学教育に含まれることを意味する。外来法定医療実習の必修科目に加え、現行の総合診療の2週間ブロック実習の延長が予定されている。つまり、医学部は今後数年間で、より多くの研修GP診療所を募集し、学生を研修させる資格を与えるという課題に直面することになる。

目的  
本研究の目的は、開業医が自らの診療所で学生を教育する動機を明らかにすることである。

方法 
2020年4月から5月にかけて、チューリンの開業医を対象に横断調査を実施した。モチベーション、インセンティブ、障壁に関する21の項目を記録し、単変量解析と多変量解析を用いて検討した。

結果  
回答率は35.8%(538/1,513)であった。調査対象となった開業医は、自分の診療所で学生を教育することに意欲的であると考えていた。その動機は、主に内発的なものであった。すなわち、知識の相互交換、知識を共有したいという願望、将来の医師を育成したいという願望であった。インセンティブとしては、最新の知識を得る機会、さらなるトレーニング、同僚との交流などが挙げられた。自分の診療所で教えることの障壁は、同じ数の患者を診ることができない、診療業務に支障をきたす可能性がある、スペースがない、などの懸念であった。まだ指導医でないGPのサブグループを分析したところ、自分の診療所で学生を教育することに関する動機と障壁は同様であったが、全体的な動機はやや低かった。

考察

動機

参加した開業医の80%以上が、学生研修に参加することに強い意欲を持っていた。
将来の医師を育てる、知識を交換する、専門知識を共有するといった内発的動機が、報酬のような外発的動機よりも優勢であった。
学生は開業医の臨床的専門知識から利益を得る一方、開業医も学生との交流を通じて定期的に知識を反映し、更新している。
多くの開業医は、特に自分の診療所の将来の後継者を考えるとき、研修は次世代の医師と出会い、影響を与える方法だと考えている。

インセンティブ

最新の知識を得ること、文献を入手すること、さらに研修を受けることは重要なインセンティブである。
学生研修を通じて人脈を築き、ネットワークを向上させることは、内発的動機付けを高める可能性があるが、それほど支配的な要因ではなかった。
金銭的報酬は、重要なインセンティブとは見なされなかった。

教育実習生を採用するためのアプローチ

非教師GPのうち、73.4%が学生を訓練することに意欲的であった。
これらの非教育開業医にとって、将来の医師を登用することはさらに強い動機づけ要因であった。
時間不足や学生による診療業務の混乱といった障壁が懸念事項であった。
これらの懸念に対処し、利点を強調することは、教育医の採用と資格取得に役立つ。

強みと限界

回答率が高く、アンケート回答が完全であったことは長所である。
しかし、教育に関心のある人ほど回答しやすいため、回答に偏りがある可能性がある。
全サンプルには非教育医も含まれていたため、厳密なグループ比較はできなかった。

結論  
この結果は、チューリンゲンの開業医が学生を訓練する動機の諸相を示すものであり、持続可能な訓練開業医のネットワークの拡大に役立つものである。動機に対処し、個別の解決策で困難に対処し、的を絞ったインセンティブを生み出すことが不可欠である。