医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

択一式問題の開発は医学生の学習を改善するか?システマティック・レビュー

Does developing multiple-choice Questions Improve Medical Students’ Learning? A Systematic Review
Youness TouissiORCID Icon, Ghita HjiejORCID Icon, Abderrazak HajjiouiORCID Icon, Azeddine IbrahimiORCID Icon & Maryam FourtassiORCID Icon
Article: 2005505 | Received 29 Sep 2021, Accepted 09 Nov 2021, Published online: 31 Dec 2021
Download citation  https://doi.org/10.1080/10872981.2021.2005505  

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10872981.2021.2005505?af=R

 

多肢選択式問題の練習は、医学生の間で人気のある学習方法です。MCQは試験でよく使われています。MCQの作成に学生を参加させることは、学生の実用的なアプローチと実際のアクティブ・ラーニングを組み合わせた潜在的な学習戦略であると思われます。良い問題を作成するためには、一般的に、評価対象となる教材を深く理解し、しっかりとした知識を身につけることが必要です。良いMCQを作成するには、綿密に作成された問題文に加えて、誤っていても可能性のある気晴らしを提案する能力が必要です。ディストラクタを作成することで、誤解や間違いが明らかになり、学生の教材に対する理解が不十分であることが強調される可能性があると言われています。しかし、医学教育における学生が作成した多肢選択問題の有効性は疑問視されています。

本研究では、学生が作成したMCQが医学学習に与える影響を、学生の認識やパフォーマンス、行動の観点から検証するとともに、この活動が学生にとってより有益なものとなる状況を定義することを目的としています。論文は、MEDLINE, SCOPUS, Web of Science, ERICの4つのデータベースを検索し、参考文献も調べました。タイトルとアブストラクトは、事前に設定した適格性基準に基づいて選択し、収録された論文の方法論的品質は、MERSQIスコアリングシステムを用いて評価しました。

884件の論文が確認されました。アブストラクトとタイトルのスクリーニングで11編の論文が残り、クロスリファレンスで6編の論文が回収され、最終的に17編の論文となりました。MERSQIの平均スコアは10.42でした。

学生の満足度と認識

MCQ作成プロセスに対する学生の視点や態度は、複数の研究で評価されており、その結果は、学生がこのプロセスに否定的な印象を持ち、他の学習方法を好むといういくつかの例外はあったものの、概ね良好なものでした。

学生のパフォーマンス

学生の成績に関しては、MCQs作成演習によって、学生の成績はおおむね向上しました。しかし、すべての研究が肯定的な結果を報告しているわけではありません。いくつかの研究では、MCQを作成することが学生の試験のスコアに有意な影響を与えなかったと指摘しています。これは、参加者の数が少なかったことと、講師の監督がなかったことで説明されています。

決定要因

学生のパフォーマンスは、質の高い問題を作成する能力に関連する傾向があります。前述のレビュー[35,42]で提案されているように、問題を作成する際に学生を支援することは、学生が作成した問題の質を高め、学習を促進し、学生の達成度を向上させる可能性があります。

 

結論

学習方法としての多肢選択問題の作成は、その実際の効率性や、時間や労力の点での落とし穴について疑問が投げかけられているにもかかわらず、医学生の学習を向上させる貴重なプロセスであるかもしれません。

現在のところ、学生が作成したMCQが学習に与える影響を調査した研究はほとんどありません。このテーマに関する今後の研究では、しっかりとした研究デザイン、有効な手段、シンプルで柔軟な介入を用い、パフォーマンスと行動に基づいて学習を測定し、異なる学生のカテゴリー(例:パフォーマンス、性別、レベル)に対するプロセスの効果を探り、活動から最大限の効果を得るために最も適切な状況に到達する必要があります。