Mixed-methods study of medical students’ attitudes toward peer physical examinations in Japan
Emily Suzuki, Nobutoshi Nawa, Eriko Okada, Yu Akaishi, Ayako Kashimada, Mitsuyuki Numasawa, Kumiko Yamaguchi, Kazuki Takada & Masanaga Yamawaki
BMC Medical Education volume 24, Article number: 681 (2024)
背景
日本のほとんどの医学部では、学生に身体診察のスキルを教えるツールとして、ピアフィジカルエグザミネーション(PPE)に依存し続けていると思われる。しかし、日本の医学生のPPEに対する意識は明らかにされていない。そこで我々は、日本の医学部におけるPPEに対する学生の態度を評価し、日本文化の文脈に合わせたPPE方針を策定するための準備とした。
方法
我々は、説明的逐次アプローチによる混合方法研究を実施し、定量的知見を解釈するために定性的データを用いた。日本の大学の医学生と若手研修医を対象にアンケート調査とインタビューを実施した。合計63名の医学生と50名の若手研修医がアンケートに回答した。理論的飽和に達するまで16人の参加者と面接を行い、PPEに対する医学生の態度や面接データから浮かび上がったテーマを調査し、定量的知見の詳細な説明を行った。
結果
女性の参加者は、PPE中にモデル患者になることに程度の差こそあれ抵抗を示す傾向が男性参加者よりも有意に高かった(男性:59.7%、女性:87%、p<0.001)。脱衣を伴う患者役を引き受けた参加者のほとんどは男性であった。参加者は、モデル患者になることを拒否する自由の保障と守秘義務対策に関する問題の改善を期待した。参加者の約22%が、PPE中に他の学生の前で偶発的所見(正常範囲内の変動を含む)を目撃したと報告した。
考察
1. 抵抗感と実践環境
女性参加者が男性参加者よりも患者モデルになることに強い抵抗感を持っていることが確認されました。この結果は、以前の研究とも一致しています。また、男性参加者が主に患者モデルの役割を引き受けていることから、外部からの圧力や教育的価値の喪失といった問題が浮き彫りになりました。
2. プライバシーと自律性
参加者は、PPE中のプライバシー保護と自律性の保証を強く求めており、これらの改善が緊急の課題であることが示されました。特に、女性参加者はプライバシーが保護されていると感じる割合が低く、これがPPEへの抵抗感の一因と考えられます。
3. 改善策
参加者は、性別に関係なく患者役を拒否する自由の保証と機密保持対策の強化を最も重要な改善点として挙げました。また、偶発的な異常の管理についても、学生のプライバシーを保護しながら適切に対応する必要があることが指摘されました。
4. 教育的価値
PPEは、実際の患者を診察する前に基本的な診察技術を習得するための重要な教育手段です。しかし、プライバシー保護や自律性の問題を解決することで、より多くの学生が積極的に参加できるようになると考えられます。
5. 日本文化に適したPPEポリシーの必要性
日本文化に適したPPEポリシーを開発し、上級生によるデモンストレーションセッションを組織することで、新入生がPPEの教育的価値を理解し、積極的に参加することが期待されます。
結論
今回の調査結果は、医学生がPPE中にモデル患者としてボランティア活動を行う際、高いレベルの自律性と守秘義務を期待していることを示唆している。したがって、日本文化に適したPPEポリシーを作成することは、学生中心のPPE環境を確立する上で有効であると考えられる。