医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

学部医学教育に障害者教育を取り入れるための12のヒント

Twelve tips for including disability education in undergraduate medical education

Dorothy W. Tolchin,Nethra S. Ankam &Leslie Rydberg

Received 28 Sep 2023, Accepted 08 Feb 2024, Published online: 22 Feb 2024

Cite this article https://doi.org/10.1080/0142159X.2024.2317913

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2024.2317913?af=R

 

障害者は、世界的に大きなマイノリティ人口であり、増加の一途をたどっている。障害を持つ人々は、健康と医療の格差を経験し続けている。現在進行中の不公平を緩和するための戦略として、学部医学教育において障害者教育を提供するよう何度も呼びかけられているにもかかわらず、医学部全体でしっかりとした障害者教育が日常的に行われているわけではない。この記事では、医学部教員であれば誰でも、有意義な障害者教育を既存の医学教育の中核に組み込むために活用できる12のヒントを提供する。

 


ヒント1:複数の障害モデルについて話し合う
重要性:さまざまな障害モデルを理解することで、社会と医療が歴史的に、そして現在、障害者をどのように扱ってきたかについての視点を学生に与える。
モデル:生物医学的モデル(障害を個人の医学的問題とみなす)、慈善モデル(障害者を憐れみの対象とみなす)、社会モデル(障害を社会的障壁に帰する)、生物心理社会的モデル(個人と環境との相互作用を考慮する)を含む。
応用:これらのモデルがケアや医療提供者の態度に与える影響について批判的に考えることを奨励する。

ヒント2:適切な障害用語を使用する
目的:スティグマを永続させるような言葉を避け、障害者を尊重する言葉を推進する。
戦略:パーソン・ファーストの言葉をデフォルトとして使用するが、アイデンティティ・ファーストの言葉など、個人の好みを尊重する。臨床現場における言葉の影響について教育する。

ヒント3:反能力主義教育を取り入れる
目標:医療教育と実践の中で能力主義に取り組み、異議を唱える。
アプローチ:障害者治療の歴史、医療における能力主義の影響、反能力主義の実践を促進するための戦略に関する内容を取り入れる。

ヒント4:既存の医学部カリキュラムのコアコンテンツに障害者コンテンツを組み込む。
方法:障害関連のトピックを標準カリキュラムに組み込み、その重要性と関連性を強調する。
利点:基本的な医学知識の一部として障害教育を正規化し、学習の持続可能性を向上させる。

ヒント5:臨床現場におけるアクセシブル・ケアのモデル
行動:適切な器具の使用や患者の多様なニーズへの対応など、アクセシブル・ケアを提供する際のベストプラクティスを示す。
目的:教室での学習と臨床のギャップを埋め、患者ケアにおけるアクセシビリティの重要性を強化する。
ヒント6:専門職間教育を活用する
理由:障害者に対する包括的ケアを強化するために、さまざまな医療専門職間の協力的アプローチを促進する。
実施:効果的な障害者ケアの集学的な性質を強調するために、教育環境に多様な医療専門家を含める。

ヒント7:利害関係者主導のコンピテンシーの活用
コンセプト:障害に関する生活経験や専門的な知識を持つ関係者によって開発されたコンピテンシーに基づいて、障害教育を行う。
成果:カリキュラムが適切で、包括的で、障害者のニーズと権利を反映していることを保証する。

ヒント8:アクティブ・ラーニング戦略の活用
テクニック:障害者ケアおよびアドボカシーに関する実践的な問題解決活動に学生を参加させる。
効果:障害知識の理解と定着を高め、臨床現場での実践的な応用を促進する。

ヒント9:教育的介入の効果を評価する
プロセス:知識、態度、および実践の変化における障害教育プログラムの効果を評価する。
意義:障害者に有能なケアを提供できるよう学生を準備するカリキュラムの継続的な改善と有効性を確保する。

ヒント10:障害のある生徒のための包括的な学習環境の育成
戦略:障害のある学生を歓迎し、アクセスしやすい教育環境を作り、彼らのユニークな貢献を認識する。
利点:医学教育における多様性と包括性を高め、すべての学生の学習環境を豊かにする。

ヒント11:カリキュラム開発のあらゆる段階に障害者を参加させる。
原則:"私たち抜きで私たちのことは語れない"。カリキュラム開発に障害者の視点や専門知識が含まれるようにする。
影響:障害者ケアにおける現実世界の課題と機会に取り組む、より適切で効果的なカリキュラムにつながる。

ヒント12:教員の障害者支援者を探し、参加させる。
アプローチ:教育機関内で障害者教育を主導し、擁護するために、障害に関する専門知識を持つ教員を特定し、支援する。
利点:医学カリキュラムへの障害教育の統合におけるリーダーシップ、革新、および説明責任を促進する。