医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

研修医の学習支援における教育指導者の役割認識:質的研究

Educational supervisor’s perceptions of their role in supporting residents’ learning: a qualitative study
Cecilie N. Birkeli1, Karin Isaksson Rø1, Lisbeth Rustad2 and Monika Kvernenes2

www.ijme.net

 
DALL·Eによって生成された
 
 

目的

過去10年間、教育的監督(ES)は研修医の研修における重要な支援メカニズムとして人気を博してきた。しかし、教育指導者としての役割に対する医師の理解をマッピングした研究はほとんどない。本研究の目的は、指導者がこの役割をどのように経験し、研修医への支援にどのように取り組んでいるかを探ることである。

方法

質的方法論を採用し、教育指導者としての経験について13人の上級病院医師と半構造化面接を行った。参加者は電子メールとスノーボールサンプリングで募集した。インタビュー手技は、(i)全体印象 (ii) 意味単位の特定と並べ替え (iii) コードから意味への凝縮 (iv) 記述と概念からの凝縮の統合という4段階の手順に従い、帰納的な系統的テキスト凝縮を用いて分析した。

結果

分析の結果、4つの主要テーマが得られた。

1. 教育的監督(Educational Supervision, ES)の重要性と実践における明確さの欠如
重要性: ESは理論的には重要であり、医師の学習プロセスや患者の治療においても重要な役割を果たすとされています。
実践における明確さの欠如: しかし、日常の臨床実践においてESの適用は明確ではなく、監督者はその実践方法について不確実性を感じています。

2. 複数の期待のバランス
複数の役割: 監督者は専門的な医療提供、個人的な責任、教育的役割、評価の役割など、多くの期待に応えなければなりません。
期待のバランス: これらの役割を効果的にバランスさせることは、監督者にとって大きな課題となっています。

3. レジデントとの関係の確立
信頼関係の重要性: 効果的なESを行うためには、レジデントと監督者間の信頼関係を構築することが不可欠です。
関係性の構築: 信頼関係の構築には、相互理解と尊重が必要であり、これが成功的な教育的監督の基盤となります。

4. 監督の個人的コスト
組織的サポートの不足: 監督者は組織からの十分なサポートを受けられず、個人的な時間やリソースを投じています。
個人的な負担: このようなサポートの不足は、監督者個人にとっての精神的、物理的なコストを生じさせています。

考察

監督者の役割

理論と実践のギャップ: 研究は、教育的監督(ES)と臨床監督(CS)の理論上の区別を、実際の臨床実践で適用することの困難さを浮き彫りにします。多くの監督者は、ESの理論的重要性を理解しつつも、それを日々の実践にどのように反映させるかについての明確な指針が不足していると感じています。

監督者が直面する課題

多重役割のバランス: 監督者は、教育的なサポートを提供すると同時に、レジデントの評価も行うなど、複数の役割を果たす必要があります。このバランスを取ることは複雑であり、効果的な教育的監督を行う上での大きな課題です。
関係性構築の重要性: レジデントとの信頼関係構築は、成功的な教育的監督の鍵ですが、これを達成するには時間と努力が必要です。

レーニングとサポートの必要性

ファカルティ開発: 監督者に対する継続的な教育とトレーニングが必要です。特に、ESとCSの実践的な違いを理解し、これを臨床実践に適用する方法についての教育が重要です。
組織的サポート: 監督者が個人的なコストを負わないように、組織レベルでのサポートの強化が必要です。これには、時間的、物質的リソースの提供や、監督業務の公式な認識と評価が含まれます。

結論

主治医のESに対する理解には多くの役割が含まれており、指導医の役割の定義が広いことを示している。指導者は、患者ケアの質を維持しながら教育の質を保証することで、研修医のトレーニングに貢献している。教育指導者は研修医をサポートする重要な存在であるが、日常診療ではその役割が不明確であると考えた。彼らは、支援的な組織構造の欠如から生じるさまざまな期待を管理しようと努力していた。