医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

統合臨床学習:プライマリケアにおけるチームティーチングとチームラーニング

Integrated clinical learning: team teaching and team learning in primary care
Roger Strasser ORCID Icon & Sue Berry
Received 18 Dec 2020, Accepted 26 Jan 2021, Published online: 16 Feb 2021
Download citation https://doi.org/10.1080/14739879.2021.1882886

 

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カナダのオンタリオ州北部で開発された統合臨床学習(Integrated Clinical Learning:ICL)は,さまざまな医療専門職の臨床教師がチームを組んで,共通の地域社会や臨床現場で学生や研修生を指導するものです。これは、医療従事者を育成するための教育戦略と、ケアの質の向上に焦点を当てたチームベースのコンピテンシーをバランスよく統合したものです。学習成果は、患者中心のケアを反映した関係性のある学習を通して、患者や地域社会の目標を考慮しながら開発されます。ICLを実施するには、現実的な問題に対処し、関係者全員の経験の質を高める体系的なアプローチが必要である。

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ICLの主要な原則には、非階層的、支持的、尊敬的、同僚的、協力的な環境と、患者と家族を含む関係者全員が恩恵を受けるプロセス、公式および非公式の学習機会を含む学習のパラダイム、知識、価値、スキル、行動の分野を超えた交流が含まれる。

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具体的には、学術機関がICLを重視し、プライマリケアの臨床家をアカデミックスタッフとして任命し、サポートすること、物理的なスペース、臨床や教育で使用する道具を提供すること、地域の管理コーディネーターを任命することなどが挙げられます。

チームアプローチでは、複数の学生が実際に教え合うことで、個々の臨床医の負担が1人の学生に比べて少なくなるように指導を分担しています。ICLを通じて、学生は患者から学び、サービス指向のプロフェッショナル・アイデンティティを育んでいます。ICLの患者と家族を中心とした性質は、プライマリケアセカンダリケアの溝を埋めるのに役立ちます。学生は患者を追って病院に出入りするからです。これは、患者と専門家にとってプラスであり、学生にとっても本物の学習となる。ICLは、プライマリ・ケアの指導医にとって、ケアの質、学習の質、専門家としての満足度を高めるものである