医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

プレクラクシップカリキュラムにおける非同期ディスカッションプラットフォームの使用:複数年にわたるレトロスペクティブ研究

Use of an Asynchronous Discussion Platform During the Pre-clerkship Curriculum: A Multiyear Retrospective Study.

Pendergrast, T.R., Walter, J.M.

Med.Sci.Educ. (2024). https://doi.org/10.1007/s40670-024-01990-5

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はじめに
非同期のオンライン掲示板(OMB)は、利用者が質問やコメントを書き込み、それをオンライングループで共有することを可能にする。OMBの使用は、いくつかの教育場面で肯定的な結果をもたらすとされているが、クラークシップ前の学部医学教育(UME)においては、その使用は研究されていない。

研究方法
この複数年にわたる観察縦断研究では、プレクラクシップUMEにおけるOMBの使用パターンを調査した。記述統計を用いて、ログオンして投稿した学生数と指導者数、投稿数、指導者の回答数、投稿の閲覧数、回答に要した平均時間を報告した。ウィルコクソンの符号順位検定を用いて、医学部1年生と2年生、および遠隔学習と対面学習を受ける学生の利用パターンを比較した。

結果
OMBには合計9870件の投稿がなされ、3869件の学生の質問によって開始された。教官と教育支援スタッフによる投稿は合計3078件、学生の質問に対する学生の回答は1024件であった。医学部1年生の投稿数は149.83対83.7、p<0.001と有意に多く、講師の回答数は125.0対59.1、p<0.001と有意に多かった。遠隔学習期間中のモジュールでは、対面学習期間中のモジュールと比較して、より多くの学生から質問が寄せられ(152.0対96.7、p < 0.001)、より多くのインストラクターからの回答が得られた(123.8対74.7、p < 0.001)。

考察:

  • OMBは、事前臨床教育(UME)における非同期ディスカッションを促進するための容易に利用可能なツールとして機能しました。
  • 特に、第1年次の学生とリモート学習期間中の学生は、OMBでより積極的でした。
  • 学生の参加を促進するためには、OMBの広範な利用が重要です。平均的に、クラスサイズに対して0.8の比率で学生がログオンし、掲示されたコンテンツに何らかの形で関与しました。
  • 第1年次の学生は第2年次の学生よりもOMBをより多く利用しました。これは、第2年次の医学生が自己主導学習に慣れているか、第三者のリソースをより頻繁に利用している可能性があるためです。
  • COVID-19パンデミックは、学生のOMBへの関与にも影響を与えました。リモート学習期間中のモジュールでは、授業内でのディスカッションの機会が限られている場合、OMBが特に影響力を発揮することが示唆されました。

この研究は、OMBが事前臨床医学教育における非同期ディスカッションを促進する強力なツールであることを示し、リモート学習や自己主導学習が重要な役割を果たす現代の教育環境において特に有用であることを示しています。