The effect of the Educational Scholar Program as a longitudinal faculty development program on the capability of educators as scholars
Fatemeh Keshmiri
BMC Medical Education volume 23, Article number: 691 (2023)
はじめに
教育スカラー・プログラム(Educational Scholar Program:ESP)は、縦断的かつ教育機関ベースのFDプログラムとして設計・実施されている。本研究では、ESPが教育者の奨学生としての役割に関連したSoTL活動を行う能力に及ぼす効果を評価することを目的とした。
研究方法
本研究は2017年から2022年にかけて実施された。参加者(n=64)は、シャヒード・サドゥギ医科大学の6校の教育者であった。ESPは、研修とプロジェクトベースの段階からなるFDプログラムであった。教育者たちは、研修段階では、少人数グループ学習、自己主導型学習、内省的課題を経験した。第2段階では、教育者たちはSoTL(Scholarship of Teaching and Learning)プロジェクトを完了した。
ESPプログラムの概要:
ESPは、縦断的な教育機関ベースのFDプログラムで、教育者が教育的役割と関連する学術的活動に備えることを目的としていた。
プログラムは、トレーニング(5ヶ月)とプロジェクトベース(13~17ヶ月)の2段階に分かれていた。
研修段階では、教育理論の学習、SoTLにおける研究デザイン、批判的評価、SoTL提案書の作成などが行われた。
プロジェクトベースの段階では、アイデアの創出、研究デザイン、実施、分析、普及が行われた。
メンタリングは重要な要素であり、各メンターは2-3人の教育者を指導した。
教育者、メンター、同業者間の交流を促進するために、コラボレーション・ネットワークが構築された。
カークパトリック・モデルに基づく学習者関連の成果が評価された。教育者の反応(満足度、ESPへの積極的参加、メンタリングセッションの認識)は、3つのアンケート(反応レベル)によって評価された。教育者の学習は、修正されたエッセイ問題とプロジェクトレポートによって評価された(学習と行動のレベル)。ESPの成果として、学術誌への論文発表、会議や学会でのアブストラクト発表、助成金獲得、教育祭での受賞、昇進、ESP後に継続的に実施されているプロジェクト、ESP後にさらなるSoTLプロジェクトを実施することなどが、ESP参加後2年間にわたって定量的に評価された(結果レベル)。データは記述統計(平均値、パーセンテージ、SD、95%信頼区間(CI))でまとめた。また、Cohen-SchotanusとVan DerVleutenによって導入された標準設定法を用いて、尺度のカットオフ点を算出した。データは1標本のt検定で分析した。
結果
72名中64名(89%)の教育者がESPを完了した。教育者の平均満足度(CI)は42点(CI:26.92-58.28)、積極的参加度は92点(CI:80.24-103.76)であった。教育者から見たメンタリング評価のスコアは90(CI:78.24-101.76)と報告された。小論文試験の平均学習得点(95%CI)は88点(CI:70.36-105.64)、プロジェクト評価は90点(CI:78.24-101.76)であった。その結果、教育者の反応と学習のスコアは、カットオフスコアよりも有意に高いことが示された(P < 0.05)。(P < 0.05). ほとんどのプロジェクトは、カリキュラム開発と評価・評価の領域で実施されていた。また、ESP実施後の2年間で継続的に実施されたプロジェクト数や助成金獲得数は、成果水準において他のアウトプットよりも高かった。
重要なポイント
実施と結果:ESPは、プロジェクトベースの学習、メンタリング、共同学習の原則を活用した縦断的なFDP(Faculty Development Program)であった。カークパトリック・モデルに基づくESPの評価は、すべてのレベルで肯定的であった。
改革の必要性:大学における伝統的な教育戦略は、教育者がSoTL(Scholarship of Teaching and Learning)活動を設計、実施、評価する能力を高めることによって改革される必要がある。
成功の要因:FDPの成功に寄与する主な要因には、変化に対する報酬の認識、支援的な職場環境、メンタリング、共同学習、体験学習などがある。ESPはこれらの要素を取り入れ、肯定的な結果をもたらした。
実践的学習:ESPでは体験学習が重視され、教育者は理論的な知識を実際の現場で応用することができた。このアプローチは、参加者の高い満足度につながった。
肯定的な成果:ESPは、進行中のSoTLプロジェクト、助成金の獲得、ESP後のさらなるSoTLプロジェクトなど、アウトプットの大幅な増加をもたらした。これは、教育者が教育改革をもたらすための重要なスキルを効果的に学び、適用したことを示している。
教訓
縦断的SoTLプロジェクトの成功には、メンタリングやネットワーキングのような支援メカニズムが不可欠であった。定期的なプランニングとサポート体制を備えた構造化されたプロセスは、学習者の成果に好影響を与えた。
限界
この研究の限界は、1つの大学に限定されていること、無作為化されていないこと、対照グループがないこと、自己報告データに依存していること、ベースラインデータがないこと、SoTLプロジェクトの評価における潜在的な矛盾などである。
結論
縦断的プログラムとしてのESPは、学習者に関連する成果を有意に向上させた。アウトプットの変化率は以前の期間と比較して顕著に増加し、実践的な学習と支援メカニズムが極めて重要な役割を果たした。今後の研究では、教育コミュニティにおける学術文化の発展に対するESPの影響を評価し、その隠れたカリキュラムを探る必要がある。