医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

臨床技能評価で使用される効果的な品質フィードバック測定ツールのシステマティックレビュー

A systematic review of effective quality feedback measurement tools used in clinical skills assessment [version 1; peer review: awaiting peer review]

Akram Alsahafi Davina Li Xin Ling, Micheál Newell, Thomas Kropmans

https://mededpublish.org/articles/12-11/v1?src=rss

 

背景

OSCE(Objective Structured Clinical Examination)は医学生の臨床能力を評価する有効なツールである.OSCE後のフィードバックは,学生のレベルアップと安全な臨床実習のために不可欠である.多くの試験官は、OSCEステーション後に設けられたテキストスペースに、有用かつ洞察に満ちたフィードバックを提供しておらず、学習成果に悪影響を与える可能性がある。この系統的レビューの目的は、医学分野における質の高い文章によるフィードバックのための最良の決定要因を明らかにすることである。 

 

方法

PubMed、Medline、Embase、CINHAL、Scopus、Web of Scienceで、2021年2月までの関連文献を検索した。医学分野の臨床技能評価における良質な/効果的なフィードバックについて記述した研究を対象とした。4人の独立した査読者が、書面によるフィードバックの質を評価するために使用される決定因子を抽出した。各決定要素について、一致率とカッパ係数を算出した。ROBINS-I(Risk Of Bias In Non-randomized Studies of Interventions)ツールを用いて、バイアスのリスクを評価した。

 

結果

14件の研究がこのシステマティックレビューに含まれた。フィードバックを評価するための10の決定因子が同定された。最も一致率が高かった決定因子は、具体的、ギャップの記述、バランスのとれた、建設的、行動的であり、カッパ値はそれぞれ0.79、0.45、0.33、0.33、0.26であった。その他の決定要因の一致度は低く(カッパ値0.22以下)、文献で使用されていても、質の高いフィードバックには適用できない可能性があることが示された。バイアスのリスクは、全体的に低いか中程度であった。

 

確認されたフィードバック品質測定の10の決定要因
1 具体的な内容
何が良かったのか、悪かったのかの詳細な情報。
2 バランス
肯定的なコメントと否定的なコメントの両方が含まれています。
3 行動的
試験で観察された行動(個人的なものではない)。
4 タイムリ
評価終了後、すぐに渡す。
5 建設的
弱点と思われる部分の解決策を示す支援的なフィードバック。
定量化可能
詳細な統計データの作成に利用できるフィードバック。
7 フォーカス
主要な結果を中心にフィードバックします。
8 記述された課題
タスクに関連する知識やスキルに焦点を当て、十分か不十分かを判断します。
9 記述されたギャップ
タスクに足りないものを詳細に説明。
10 記述された行動計画
1つ以上の目標に到達するために必要な行動の詳細な計画。

 

結論

本研究は、良質な書面によるフィードバックは、具体的で、バランスのとれた、建設的なものであるべきであり、試験で観察された行動行為だけでなく、学生の学習のギャップを記述すべきであると示唆するものである。OSCE評価においてこれら5つの中核的決定要因を統合することは、教育者が学習者に対して効果的で実行可能なフィードバックを提供するための指針となり、支援となる。