医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

交互に臨床実習を行うクラークシップ教育における能力ベースのアプローチの効果:説明的逐次混合方法研究

Effects of a competence-based approach for clerkship teaching under alternating clinical placements: An explanatory sequential mixed-methods research
Da-ya Yang,Xiao-dong Zhuang,Jun-xun LiORCID Icon,Jing-zhou Jiang,Yue Guo,Xiao-yu Zhang, show all
Received 18 Dec 2023, Accepted 14 May 2024, Published online: 31 May 2024
Cite this article https://doi.org/10.1080/0142159X.2024.2356830

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2024.2356830?af=R

背景
クリニカル・クラークシップ期間中に、臨床能力を明示的に強調することなく、交互に実習を行うことが最適な教育成果をもたらすかどうかは不明である。

 

方法

これは説明的逐次混合法研究である。クラークシップ中に交互実習を受けた中山大学8年制医学生41名の便宜的サンプルを登録した。クラークシップ教育における能力主義的アプローチ(n=21)と伝統的アプローチ(n=20)の効果を比較した。量的段階では、オンライン調査によってコースの満足度を測定し、学業成績は総括的評価の最終得点によって決定した。次に質的な段階では、学生に学習経験について半構造化面接を行い、その記録から主題分析を行った。

能力主義的アプローチ

知識の応用

教育者は、臨床症例を見る前後に、理論的な知識とその実践的応用に焦点を当てた深い議論を行いました。学生は、患者の診断と治療計画を立てる際に、教室で学んだ知識を実際の臨床状況に適用する方法を学びました。

自己主導型学習

学生は、学習セッションから生じた問題や質問を小グループで調査し、その結果を次のセッションでプレゼンテーションするという形式を採用しました。これにより、学生は自ら問題を解決し、他の学生に教える能力を養いました。

患者とのコミュニケーション

各学生が患者と直接対話し、病歴聴取や身体診察を行う機会を提供しました。教育者は、これらの対話の後に即座にフィードバックを提供し、学生が患者との信頼関係を築く方法を学べるようにしました。

ロールモデルとしての教育者

教育者は、学生に対してポジティブなロールモデルとして機能し、臨床知識の実践的応用や患者との効果的なコミュニケーション方法を示しました。学生は、教育者の態度や行動から多くを学び、将来の臨床実践に役立てることができました。

 

結果

量的結果

  • コース満足度コンピテンシーベース教育を受けた学生は高い満足度を示した。
  • 学業成績コンピテンシーベース教育を受けた学生の最終試験成績は従来の教育を受けた学生よりも有意に高かった(中央値:78.00 vs 74.80、p<0.0001)。

質的結果

  • 学生は、配置モデルについては中立的であったが、指導者のポジティブなロールモデルとしての役割を高く評価した。
  • コンピテンシーベース教育を受けた学生は、自己主導型学習、臨床推論、患者とのコミュニケーションのスキルが向上したと感じていた。

考察

  • 配置モデルの影響:学生は配置モデルに対して強い好みを示さず、時間ベースの訓練の重要性が低減される可能性が示唆された。
  • 学習成果の向上コンピテンシーベースの教育は、学生のコース満足度と学業成績を向上させた。これは、教育者が臨床能力の育成に注力し、学生の学習を個別化した結果と考えられる。
  • 教育者の影響:教育者がポジティブなロールモデルとして機能することが、学生の学習体験に大きな影響を与えることが明らかになった。

実践的な意味

  1. コンピテンシーの重視:医療教育カリキュラムは、臨床能力の育成に重点を置くべきである。
  2. 学生の声の反映:カリキュラム改革には、学生の意見を適切に反映させる必要がある。
  3. 教育者の役割:教育者がポジティブなロールモデルとして機能することは、学生の学習成果に直結するため、教育者の育成プログラムが重要である。

 

結論

能力に基づいたクラークシップ教育へのアプローチは、コースの満足度と学業成績の向上につながり、学生によって認識され、活用され、評価された。

 

ポイント

クリニカル・クラークシップ教育への能力ベースのアプローチは実現可能であり、コースの満足度や学業成績の向上につながる可能性がある。

単に学習の時間構造を変えるだけでは、最適な教育成果は得られないかもしれない。

ロールモデルとしての教官の学生に対する影響力は、いくら強調してもしすぎることはない。

教育改革は、学生の利益をよりよく代弁する方法を考慮に入れるべきである。