医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

モーニングレポートの実践と研修医教育への貢献: サウジアラビア東部州における多施設横断調査

The Morning Report Practice and Its Contribution to Education of Internal Medicine Residents: A Multicenter Cross-Sectional Survey in the Eastern Province, Saudi Arabia

Authors Al Qarni A , Habib A, Abdelgadir E, Al Sarawi A, Alqannas N, Alkroud A

www.dovepress.com

 

背景

モーニングレポート(MR)は、研修医研修において、どこにでもある伝統的な教育活動である。そのため、本研究が実施された。内科研修医によるMRの実践、MRに取り組む動機、教育への貢献についての認識を調査することを目的とした。

方法

本研究は多施設横断研究である。データは、MRの実践、回答者の参加動機、教育へのMRの貢献、エビデンスに基づく医療の実践や質向上・患者安全への影響に関する12項目のオンライン自記式質問票を用いて収集した。

結果

170名の研修医がオンラインアンケートに回答した(54.7%)。回答者の性別と研修年数は均衡していた(P>0.05)。最も多かったMRの頻度と時間は、それぞれ週5日(85.4%)と45~60分(47.1%)であった。最も一般的な形式は、引き継ぎと緊急の長時間の症例提示を組み合わせたもの(55.8%)であり、コンサルタントが最も一般的なファシリテーターであった(79.7%)。回答者のMRへの参加動機は中程度が多かった。MRに主治医として参加する理由と参加しない理由の上位は、それぞれ強制参加と恥ずかしい質問であった。研修医の様々な役割開発に対するMRの貢献の認知度は、主に中級であったが、教育全体に関しては、主に非常に低い/低い(42%)であった。EBMとQIPSの実践に対するMRの影響は、どちらも中程度であった。

考察・結論

この横断的多施設観察研究では、サウジアラビア東部州の内科研修プログラムにおけるモーニングレポート(MR)の実践について調査した。研究の目的は、MRの教育への貢献に対する研修医の認識、出席や参加に影響を及ぼす因子、参加への動機付けを理解することであった。

内科研修プログラムでは、MRは一般的に行われていたが、その頻度はまちまちであった。最も一般的な頻度は週5日(85.5%)であり、研修カリキュラムの要件に沿ったものであった。しかし、回答者の約半数(47.1%)だけが、45~60分という予想されるMR時間を実施していた。

MRの形式は様々で、症例に基づいたディスカッションが主流であった。ショートケースプレゼンテーション、データ解釈、トピックプレゼンテーションなどの他の形式は、あまり頻繁に報告されなかった。

MRの進行は主にコンサルタントが行った。対照的に、米国では内科のMRはチーフレジデントまたはシニアレジデントが主導するのが一般的である。

MRに定期的に参加する主な理由は「強制参加」であり、次いで「教育的利益」(41.9%)であった。不参加の主な理由は「恥ずかしい質問」であった。

回答者がMRに定期的に出席し、積極的に参加する動機は、中程度なものであった。しかし、ファシリテーター役を引き受ける動機は非常に低かった。

MRは、医療専門家、リーダー、コミュニケーター、専門家など、様々な立場の回答者の役割開発に、中程度貢献していると考えられた。

 

本研究の結論

MRはサウジアラビア東部州の内科研修プログラムにおいて、一般的に実践されている教育活動であるということである。主な形式は症例に基づくディスカッションである。回答者がMRに参加する動機と、教育に対するMRの貢献の認識については、主に中程度であった。この結果は、内科研修におけるMRの役割を検討し、MRの教育の質を向上させ、研修医の参加を促すことに焦点を当てた、さらなる研究の必要性を強調している。本研究の限界としては、サウジアラビアの1つの州に限定されているため一般化可能性に限界があること、無回答によるバイアスの可能性があることが挙げられる。しかし、内科研修医からの視点を提供するものであり、文献に加えるものである。