医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

臨床報告に関する総合診療医教育者: 医学生3年生にケアを教える経験の質的調査

General Practitioner Educators on Clinical Debrief: A Qualitative Investigation into the Experience of Teaching Third-Year Medical Students to Care
Georgia F. EvansORCID Icon,Joanna BrooksORCID Icon,Lisa CollinsORCID Icon,Rebecca FarringtonORCID Icon &Adam Danquah
Received 18 Sep 2022, Accepted 02 May 2023, Published online: 01 Jul 2023
Download citation https://doi.org/10.1080/10401334.2023.2222314

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10401334.2023.2222314?af=R

 

現象

総合診療医の臨床教育者の経験を報告する研究は少ない。学生に教育を提供することは、教育者にとって臨床スキルの向上や仕事の満足度の向上につながる可能性がある。しかし、それはストレスや精神的疲労を増大させ、現在のプライマリ・ケア情勢においてすでにプレッシャーがかかっている状況に拍車をかけることにもなりかねない。Clinical Debriefは、医学生の臨床実習に備えるために開発された、統合的なスーパービジョンを伴う症例ベースの学習モデルである。本研究は、Clinical Debriefを促進する総合診療医の経験を調査することを目的とした。

アプローチ

Clinical Debriefをファシリテートした経験のある総合診療医8名が、半構造化質的インタビューに参加した。結果はReflexive Thematic Analysis(内省的な主題分析)を用いて分析され、4つの主要なテーマが作成された。

テーマ:

個人の充実

心理的「休息」とウェルビーイング:参加者は、臨床報告会(CD)が普段の臨床的役割から離れた貴重な休息を提供することに気づいた。このような環境とルーチンの変化は治療的であり、仕事の満足度と全体的なウェルビーイングの向上に貢献すると考えられた。参加者は、燃え尽き症候群に対する早期の予防措置の必要性を認識し、CDはそのための措置であると考えた。また、参加者はCDチューターネットワークの一員であることを評価し、学生の成長を支援することに個人的な満足感を見出した。

専門職の充実

「双方向ドア」としての臨床報告会CDはキャリアの満足度を向上させただけでなく、参加者の臨床知識をリフレッシュさせた。CDは、参加者の認知プロセスを洞察し、臨床推論を強化した。学生との交流やセッションの準備により、参加者は常に最新情報を入手し、意欲的に取り組んでいた。また、学生たちの初期の体験に触れることで、新たな共感が得られたという。

ファシリテーターになる旅路

参加者は当初、特にセッションの柔軟性とオープンエンドな性質のために、不安と自信喪失を経験した。しかし、時間の経過とともに自信をつけ、自分の限界を受け入れることを学んだ。学生の積極的な参加を促したが、小グループの力学や生徒の行動に関する課題にも直面した。

指導における人間関係

曖昧な境界線と複数の役割:CDファシリテーターは、学生の安全基地としての役割、牧歌的なサポートの提供、さらには親のような存在など、複数の役割を担っていることに気づいた。彼らは信頼関係を築こうとする一方で、専門家としての境界線を維持するのに苦労していた。このようなCDの役割の曖昧さによって、ファシリテーター、指導者、医師としての境界が曖昧になった。

洞察

臨床報告会のファシリテーターになることは、この研究に参加したGPの個人的および職業的な生活に変革的な影響を与えた。これらの知見がGP個人、その患者、そしてより広い医療制度に与える影響について論じる。