医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

研修医との会話を学ぶ:臨床指導医にとってのEBM学習の機会

Learning Conversations with Trainees: An Undervalued but Useful EBM Learning Opportunity for Clinical Supervisors
Lisanne S. Welink ORCID Icon, Esther de Groot ORCID Icon, Marie-Louise E. L. Bartelink ORCID Icon, Kaatje Van Roy ORCID Icon, Roger A. M. J. Damoiseaux ORCID Icon & Peter Pype ORCID Icon
Published online: 23 Dec 2020
Download citation https://doi.org/10.1080/10401334.2020.1854766

 

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10401334.2020.1854766?af=R

 

EBMの3つの側面、すなわち、利用可能な最善のエビデンス、患者の希望や嗜好、医師の臨床的専門性を組み合わせることは、個々の患者のケアのための医療上の意思決定を行う上で重要である。

EBMの指導には5つのステップがある

・臨床的な質問をする

・関連するエビデンスを取得する

・そのエビデンスの妥当性を評価する

・関連するエビデンスを実践に適用する

・結果を評価する。


監督者と研修生は、職場で協力し合い、相互に交流することで、お互いの強みを活かしながらEBMに関連するスキルを学ぶことができる。本研究では、指導医が研修医と会話をすることで、現在どのようにEBMを学んでいるのかについて、指導医の認識を探る。

 

アプローチ

オランダとベルギーの総合診療の22名の指導医を対象に、半構造化されたビデオ刺激による誘発面接を実施した。監督者には、ビデオに記録された学習会話の断片を見せ、省察を促した。記録されたインタビューは、根拠のある理論に基づいたアプローチを用いて分析された。

結果

監督者は職場での学習会話をすぐに研修医からエビデンスに基づいた医療を学ぶ機会だとは認識していなかった。ほとんどの監督者は、これらの会話を研修医にとっての学習の機会であり、自分たちの診療の中でケアの質を維持する機会であると考えていた。それにもかかわらず、インタビューの中で、指導医は会話を学ぶことで最新の知識や検索スキルを身につけることができたり、自分の知識や知識のギャップについてより多くの気づきを得ることができることを認めていた。学習成果として認識されなかったのは、エビデンスと臨床の専門知識や患者の好みを組み合わせて、臨床の中でエビデンスに基づいた医療をどのように適用するかということであった。

考察

監督者は、研修医との学習会話を通じてエビデンスに基づく医療の3つの側面の要素を学んでいることを認めているが、現在のところ、これは研修医の学習プロセスの二次的なものであると考えている。双方向の学習の機会を強調することで、職場での学習会話の中でエビデンスに基づいた医療の学習が改善される可能性がある。

 

 

結論

GPの指導医は、職場での学習会話をすぐに研修医からEBMを学ぶ機会だとは認識していない。彼らはこれらの定期的なミーティングを、研修医にとっては学習の機会であり、GPの診療所内でケアの質を維持するための手順であると考えている。しかし、指導医は、会話を学ぶことで、研修医自身が新しい最新の知識や検索スキルを得ることができるだけでなく、自分自身の知識やその知識のギャップをより意識することができることを認めている。学習成果として挙げられていないのは、臨床の専門知識や患者の嗜好とエビデンスを組み合わせてEBMをどのように臨床に適用するかである。学習会話の中で双方向の学習機会を強調することは、職場でのEBM学習を改善する可能性がある。