医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

最終学年の外科技術学生の周術期能力と成績に対する、サンドイッチ・フィードバックによる実習訓練と従来の方法の効果の比較:無作為化比較試験

Comparison of the effects of apprenticeship training by sandwich feedback and traditional methods on final-semester operating room technology students’ perioperative competence and performance: a randomized, controlled trial

Azam Hosseinpour, Morteza Nasiri, Fatemeh Keshmiri, Tayebeh Arabzadeh & Hossein Sharafi 

BMC Medical Education volume 24, Article number: 578 (2024) 

bmcmededuc.biomedcentral.com

背景
効果的なフィードバックは臨床教育における基本である。なぜなら、トレーナーは常に訓練生の状態を診断し、弱点を見極め、適切なタイミングで介入することができるからである。近年、臨床トレーニングにおいて、さまざまなフィードバックに基づくアプローチが導入されている。しかし、このような介入の有効性については、特に周術期領域において、まだ広く研究する必要がある。そこで本研究では、サンドイッチフィードバックを用いた実習と従来の方法を用いた実習が、外科(OR)技術学生の周術期の能力と成績に及ぼす効果を比較することを目的とした。

方法
実習コースを受講する学部最終学期のOR技術専攻の学生30名を、層別無作為化法によって実験群(n=15)と対照群(n=15)に無作為に割り付けた。実験群の学生は、サンドイッチ・モデルを用いたフィードバックに基づく学習(FBL)を経験し、対照群の学生は、伝統に基づく訓練(TBT)に参加し、週6回5時間のセッションを3週間連続で行った。介入の初日と最終日に、すべての学生がペルシア語版のPerceived Perioperative Competence Scale-Revised(PPCS-R)を記入した。また、盲検化された評価者がチェックリストに記入し、介入最終日にDirect Observation of Procedural Skills(DOPS)により全生徒の成績を評価した。さらに、FBLの学生は、実施されたプログラムに対する態度に関するアンケートに回答した。

結果
介入最終日のPPCS-Rの平均総得点は、TBTよりもFBLの方が有意に高かった(P<0.001)。さらに、初日から最終日までのPPCS-R総得点の平均変化量の増加は、FBLで有意に大きかった(P<0.001)。同様に、FBLの学生はTBTの学生よりもDOPSのスコアが高かった(P < 0.001)。また、ほとんどのFBL受講生は、実施されたプログラムに対して良い態度をとっていた(n=8;53.3%)。

考察

・周術期能力:

FBL(フィードバックベースの学習)を受けた学生は、TBT(伝統的な基礎訓練)を受けた学生に比べて、全てのPPCS-R次元で有意に高いスコアを獲得しました。特に、「基礎スキルと知識」「リーダーシップ」「同僚関係」「熟練度」の次元で顕著でした。

・周術期パフォーマンス:

DOPSスコアもFBL群で有意に高く、特に「手術部位の解剖情報」「患者とのコミュニケーション」「手術技術」「術後対策」「手術チームとのコミュニケーション」「プロフェッショナルな行動」の各領域で優れていました。

・学生の態度

FBL群の学生の態度は「診断」「予後」「動機付けと帰属意識」「学習改善への寄与」の次元で良好から中程度でした。フィードバックベースの学習は、学生の学習に対するモチベーションを向上させ、学習過程の改善に寄与することが示されました。

・インストラクターの視点

インストラクターもFBLプログラムに対して満足しており、学生の知識とスキルの向上に寄与すると感じていました。

結論
サンドイッチフィードバックベースのアプローチを用いた徒弟訓練は、最終学期のOR技術学生の周術期の能力と成績を高める上で、従来の方法よりも優れていた。この知見の持続可能性を明らかにするためには、さらなる研究が必要である。