医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

基礎救命処置における学生の臨床スキル向上に対する「インフォグラフィック対ビデオフィードバック」の影響に関する比較研究

Comparative study on the impact of ‘Infographic versus video feedback’ on enhancing students’ clinical skills in basic life support

Kheizaran Miri, Ali Yaghoubi, Sadaf Kholousi, Mahdi Yousofzadeh, Alireza Zanganeh, Mehdi Gharayi & Mohammad Namazinia 

BMC Medical Education volume 24, Article number: 779 (2024) 

bmcmededuc.biomedcentral.com

背景
看護学生に対する効果的な心肺蘇生(CPR)トレーニングは、心停止シナリオにおける患者の転帰を改善するために極めて重要である。 本研究では、基礎救命処置(BLS)における看護学生の臨床技能の向上に対するインフォグラフィックフィードバックとビデオフィードバックの影響を評価する。

方法
トルバト・ヘイダリエ医科大学看護学生76名を2群に分け、一方にはインフォグラフィックを用いた教育を、もう一方にはビデオフィードバックを用いた教育を行った。 介入前と介入後の評価では、有効な質問票を用いて知識とスキルの定着度を測定した。

結果

知識の向上: インフォグラフィックを用いたグループは、心肺蘇生法に関する知識テストで、ビデオフィードバックを受けたグループに比べて有意に高い得点を示しました(17.0 ± 1.0対16.5 ± 0.9, p = 0.032)。しかし、その差はわずか0.5~1ポイントであり、臨床的に重要な意味を持つかは不明です。

技能の向上: ビデオフィードバックを受けたグループは、CPRの実技スキルでインフォグラフィックグループを上回りました。具体的には、適切な胸骨圧迫の深さや速度、技術の面で有意な向上が見られました(15.5 ± 2.4対13.5 ± 3.2, p = 0.004)。

胸骨圧迫の質: ビデオフィードバックグループは、適切な深さで胸骨圧迫を行う割合が81.6%と、インフォグラフィックグループの57.9%を有意に上回りました(p = 0.045)。

考察

インフォグラフィックの有効性: インフォグラフィックは、視覚的な要素とテキストを組み合わせることで、複雑な情報を簡潔に理解しやすくする手法として効果があることが確認されました。この結果は、インフォグラフィックが理論的知識の保持に有効であることを示しています。

ビデオフィードバックの有効性: ビデオフィードバックは、実際の技術向上に効果的であり、特に心肺蘇生法の実技スキルの向上に寄与しました。これにより、看護学生が自らの技術を映像で確認し、即座に改善点を認識できるため、実技の質が向上しました。

結論
インフォグラフィックを用いた教育はBLSの知識の定着を高め、ビデオフィードバックはCPRの実技を向上させる。 これは、CPRトレーニングの成果を最適化するためのインフォグラフィックとビデオフィードバックを組み合わせたアプローチの潜在的な利点を示唆しており、医学教育における重要なニーズに対応している。