医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

小児科研修生の勤務時間遵守に対するノート作成指定時間の効果

Effects of a Designated Note Writing Hour on Pediatric Intern Adherence to Duty Hours
William Adamiak, William Graessle, […], and Alla Kushnir kushnir-alla@cooperhealth.edu+1View all authors and affiliations
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https://doi.org/10.1177/23821205231207486

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/23821205231207486

 

目的
研修生は、勤務時間の大半をメモ書きに費やしており、その結果、直接患者ケアを行う時間が減少している。週80時間労働制が導入されて以来、研修生が1日のうち直接患者ケアに費やす時間は12%であるのに対し、コンピュータに向かっている時間は40%であることが示されている。小児科研修生の勤務にメモ書き専用の時間を導入し、メモ書き行動への影響を評価した。2019年7月の導入から1年以内に、全小児研修生ノートの80%が勤務終了前に記入されるようになることを目指した。
方法
EPIC電子カルテ(EHR)データベースのタイムスタンプを、3つの対象期間(時間導入前(2019年1月~5月)、導入直後(2019年7月~11月)、1年後(2020年5月~8月))に小児科研修生が書いたすべてのノートについてレビューした。

 

調査結果
実施前は、67.9%のノートがサインアウトで終了していた。実施直後は72.5%、実施1年後は73.5%に増加した。保護時間終了前に終了したノートの割合は、それぞれ34.0%から49.5%、53.7%に改善した。また、1時間未満で終了したノートの割合も、それぞれ13.9%から50.6%、24.9%に増加した。

副次的な結果としては、文書作成効率の大幅な改善が見られた。1時間以内にノートを完成させる割合が高くなり、保護時間が有効に使われたことを示している。
効率の改善が、研修生の経験の自然な経過によるものなのか、保護時間によるものなのかは不明である。

 

限界

病院医療のばらつきと、異なる期間における分析ノート数。
本研究はCOVID-19パンデミック中に行われたため、小児の入院に影響を与えた可能性がある。
上級研修医や主治医が保護時間をどのように尊重していたかにばらつきがあった可能性。
研修生がノートを書く時間帯に遵守していたかどうかに関する具体的なデータが不足している。
介入前後のノートの質の評価がなされていない。

 

今後の方向性

保護時間がノートの質と臨床業務の完了に及ぼす影響を評価する。
COVID後の介入の持続可能性を検証する。
異なる期間にわたる違反データを直接調べる。

 

結論

小児科研修生にノートを書く時間を保護することは、文書化の実践を改善する斬新な方法である。このアプローチは、よりタイムリーなノート記入につながり、これは当直時間違反を減らすために週80時間労働の文脈において不可欠である。