医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

基礎的救命処置のトレーニングにおけるロールプレイング手法と比較したバーチャルリアリティの使用:2群試験による地域ベースの無作為化試験

Use of virtual reality compared to the role-playing methodology in basic life support training: a two-arm pilot community-based randomised trial
M Figols Pedrosa, A Barra Perez, J Vidal-Alaball, Q Miro-Catalina & A Forcada Arcarons 
BMC Medical Education volume 23, Article number: 50 (2023)

bmcmededuc.biomedcentral.com

はじめに
バーチャルリアリティVR)は、現実の環境をデジタルメディアで作成した環境に置き換えることができる技術である。この技術は、医療従事者のトレーニングに使用されることが多くなっており、これまでの研究では、VRを使用した活動に参加した学生の関与とモチベーションが、従来の方法論でトレーニングを受けた学生に比べて増加することが示されている。本研究の主な目的は、VR環境を用いた学生の学習効果を評価し、研修活動の満足度とコストを評価し、ロールプレイング手法を用いた研修と比較することである。

方法論
2群のコミュニティベースの無作為化試験。対照群では、通常のロールプレイング手法に基づいたトレーニングを行う。第2群(介入群)は、VRプログラムに基づいたBLS(Basic Life Support)トレーニングを行う。

結果
コース終了時のテストでは、学習方法としてVRを用いたグループの正答率に、統計的に有意な差が認められた。これらの差は、6ヶ月後に実施したテストの結果を比較すると、消失しています。ロールプレイング研修活動の満足度は10点満点で9.37点、VR手法の満足度は9.72点となっています。また、コスト分析によると、ロールプレイングで学生を訓練する場合のコストは32.5ユーロ、VRで訓練する場合は41.6ユーロであることがわかりました。

結論
VRは短期間でより多くの知識を定着させることができるツールであり、パンデミックのように従来の形式が使えない状況でも利用できる。研修活動に対する学生の満足度に関連して、両グループの評価は非常に高く、その差はわずかである。この結果は、不確実な環境下でのVR手法を用いた訓練活動のスケジューリングに関連して、カタルーニャ州中部におけるBLS訓練の意思決定に直接適用されることになる。