医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

医学部のカリキュラムに環境教育を組み込むことの影響

The impact of integrating environmental health into medical school curricula: a survey-based study

Benjamin Kligler, Genevieve Pinto Zipp, Carmela Rocchetti, Michelle Secic & Erin Speiser Ihde
BMC Medical Education volume 21, Article number: 40 (2021)

 

bmcmededuc.biomedcentral.com

 

 

背景

医学教育に環境衛生(EH:environmental health)を取り入れることは、気候変動や健康、水質汚染、鉛汚染などの複雑な問題に対処するために、将来の医師を準備するための準備としての役割を果たしています。環境健康格差は、注目度が高まっている健康の社会的決定要因に収まっており、まだ医学部のカリキュラムからはほとんど省略されている。米国の医学教育ではEH教育がほとんど行われていないことが判明しており、将来の医師が患者の環境疾患に対処するための専門知識を持っておらず、予防について話すこともできないというリスクを抱えています。

方法

環境衛生 (EH) の知識とスキルを、の医学部1年生のカリキュラムに、組み込まれました。

サービス学習の経験と統合されたカリキュラムを通して、学生は健康の社会的決定要因だけでなく、個人的、経済的、環境的決定要因を含む多くの健康の決定要因を理解します。学生は、十分なサービスを受けていない地域の個人や家族とマッチングされ、コア・カリキュラム全体にわたって縦断的な相互作用を通じて、健康の結果の要因を理解し、教育を提供し、地域社会のリソースをナビゲートするために、家族の生活のあらゆる側面に関与するようになります。活動には、家庭や地域社会での個人や家族との面談や電話でのやり取りのほか、医療、法律、社会サービスの現場での学際的なチームへの参加も含まれます。

学生は、1年目のEHモジュールの前後に、医学部におけるEHMS(Environmental Health in Med School)調査を実施しました。この調査は、環境衛生に関する医学生の態度、意識、専門性を評価するものです。2年目には、学生は環境衛生調査IIを完了しました。これは、将来の患者と環境衛生について話し合う準備ができているかどうかについての学生の認識を測定したものです。研究チームは、6つのコンピテンシーに基づいたEH学習目標に沿った学習目標に基づいて、両調査を作成しました。

結果
36人の1年生が、EHMS調査前後の両方を完了しました。対になる比較には、McNemarの検定が使用されました。結果は、調査前と調査後の間に統計的に有意な変化は見られないことが確認されました。

2年目のEHS IIの事前調査(n = 84)と事後調査(n = 79)の回答を比較すると、カリキュラム介入後に、環境衛生について患者と話し合う準備ができているという学生の自己報告の感覚に統計学的に有意な正の変化が見られました。

 

結論

1年目に実施したEHMSの結論は、医学生は、すでに環境問題が健康に与える影響について非常に意識しており、関心を持っているということでした。

2年目のEHS IIでは、実践的な要素と体験的な要素を組み合わせた6週間の環境保健モジュールにより、医学生の自己申告による気候変動を含む環境保健問題について患者と話し合う心構えが大幅に向上したことがわかりました。