医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

組織学の学生を受動的な講義聴講者から能動的な講義学習者に変える

Transforming histology students from passive lecture listeners into active lecture learners
Michael Hortsch
First published: 30 May 2024 https://doi.org/10.1002/ase.2463

https://anatomypubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ase.2463?af=R

 

従来のアカデミックな講義は、学生に受動的な学習環境を提供していると批判されてきた。多くの場合、聴衆の注意を引くことができず、その結果、学習者は注意散漫になったり、退屈したりして、学習効果が低下する。その結果、多くの学校や大学では、教育方法として放棄されるか、より学習者中心の体験に修正されつつある。

アクティブラーニングスライドの導入

講義にアクティブラーニングを取り入れるために、講義のPowerPointプレゼンテーションにアクティブラーニングスライドを挿入します。これにより、学生は単に講義を聞くだけでなく、積極的に参加することが求められます。

スライドの内容

  • 質問スライド: 各講義セグメントの最後に、関連する質問を含むスライドが挿入されます。これらの質問は、学生が学んだ内容を確認し、理解を深めるためのものです。
  • アニメーション: スライドの質問はアニメーション機能を使って段階的に表示され、学生に考える時間を与えます。
  • 画像や図: 質問スライドには、講義中に使用された画像や新しい画像が含まれ、学生が視覚的な情報を基に答えを考えるように促します。

質問形式の多様性

質問形式には以下のようなものがあります:

  • 単純な真偽質問: 学生がYesまたはNoで答える形式。
  • 選択式質問: 学生が複数の選択肢から答えを選ぶ形式。
  • 識別質問: 組織や細胞の名前を答えさせる質問。

フィードバックの即時提供

講義中に学生からの反応を得ることで、講師はその場で学生の理解度を確認し、必要に応じて講義内容を補足することができます。

教育理論の支持

このアプローチは教育理論や認知心理学の観点からも支持されており、学生の動機付けや学習効果の向上に寄与します。

実施上の工夫

  • 時間管理: 講義時間の制約を考慮し、効率的に時間を使うための工夫が必要です。
  • 講義内容の精査: 重複する内容や不要な情報を削減し、必要な情報に集中する。

 

アクティブラーニングの効果
アクティブラーニングの有効性は文献で広く支持されており、学生の学習成果と動機付けを向上させることが示されています。具体的には、以下の点が強調されています:

  • 学生の概念理解や学習効果を向上させる
  • 学生からのフィードバックを講師が得やすくなる
  • 教育理論と認知心理学の観点からも支持される

アクティブラーニングの導入の課題
アクティブラーニングの導入にはいくつかの課題があります。具体的には:

  • 講義時間の制約
  • 学生や教育管理者からの抵抗
  • 学生が講義内容をすぐに理解するのが難しい場合がある

アクティブラーニングスライドの設計
講義内容を分割し、各セグメントの後にアクティブラーニングスライドを挿入することで、学生が学んだ内容を確認することができます。具体的には、質問形式や画像認識、組織の機能と構造に関する質問などが含まれます。

学生の参加
アクティブラーニングスライドは学生の積極的な参加を促し、即時のフィードバックを提供することで、講義内容の理解を深める助けになります。ただし、オーディエンスレスポンスシステム(ARS)の利用には時間や技術的な課題が伴うため、必ずしも全ての講義で利用されているわけではありません。

結論
伝統的な講義形式からアクティブラーニングを導入することは、学生の学習効果を高める上で重要なステップです。講義にアクティブラーニングスライドを組み込むことは、学生にとっても講師にとっても多くの利点をもたらします。これは、より学習者中心の教育アプローチへの第一歩となり得ると結論付けられています。