医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

Peyton’s Model 臨床技能指導のための修正と応用

Peyton’s Model: Modifications and Applications for Teaching Clinical Skills
Arora, Bhawana MD1; Schoonover, Amanda MPH2; Bush, Colleen MD3; van de Ridder, J.M. Monica PhD, MSc4
Author Information
Academic Medicine 98(4):p 533, April 2023. | DOI: 10.1097/ACM.0000000000005101

journals.lww.com

学習者は、卒業時に医療手技を適切に行うための訓練が不十分であると感じていることが研究で示されている。See One, Do One, Teach Oneモデルでは、スキルが適切に習得されることが保証されないため、患者の健康が危険にさらされている。1998年、ペイトンは手術手技を教えるための4段階モデルを提案した。このモデルは、モデリングと観察の概念に基づいている。このモデルは、過去20年以上にわたって臨床技能の指導に使用されてきたが、広く使用するには限界がある。我々は、このモデルの使用に関する様々な課題に取り組み、手技と非手技の両方に対する修正と応用を提案した。

*Peyton’s Model 

デモンストレーション :指導医が通常のペースでスキルを行う。
分解:指導医がスキルを説明し、実行する
理解:学習者がスキルを説明し、指導医がそれを行う
実行 :学習者がスキルを説明し、実行する

 

修正と応用
・1人の患者に対する手技

スキル例 :患者の裂傷を縫合する
具体的な修正:タスクのさらなる分解 

修正4ステップモデル
1. 1回目の縫合、指導医が行う
2. 2回目の縫合、指導医が説明と実施
3. 3回目の縫合、学習者が説明し、指導医が行う
4. 4回目の縫合、学習者が行う

指導上の注意:創傷が長い場合、より多くの学習者がステップ 3 と 4 を完了することができる。

・まれな/複雑な手技 

スキル例 :脱臼した股関節の固定 
具体的な修正:ビデオレビュー 

・修正4ステップモデル
1. 指導医がビデオを提供し、学習者が見る
2. 指導医がビデオを見ながら手技を説明する。
3. 指導医が手技の手順を説明する。
4. 指導医が手技を行う。
指導上の注意
まれな手技は何度も行うことができないため、ビデオを使用する。

・大人数 

スキル例 :シミュレーションによる腰椎穿刺の指導
具体的な修正:学習者を指導役として参加させる 
修正4ステップモデル
1. 指導医が行う
2. 指導医が説明し、実施する
3. 学習者がよければ、他の学習者に演技を説明する。
4. 各自が実演する

指導上の注意
一度技術を習得した学習者は、追加の指導者となることができる。


・ノン・ハンズオン・スキル
スキル例 :患者の同意取得
具体的な修正:観察と自己説明

修正4ステップモデル
1. 指導医が同意を得る
2. 同意を得ながら説明する
3. 学習者が同意を得るプロセスを説明する
4. 学習者が同意を得る

指導上の注意
ステップ2と3: 患者に予想されることや部屋の外でできることを説明する。これは、他の実技以外のスキル(メモ書きなど)にも使用できる。

 

メッセージ
1. ペイトンの4段階モデルは手技を教えるのに効果的なアプローチである。
2. このモデルを修正することで、手技や実技以外の指導にも広く応用できる。