医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

専門職間教育のための大規模でモバイル技術を駆使したシリアスゲーム:パイロットスタディとその教訓

Large-scale, mobile and technology-enhanced serious game for interprofessional education: pilot study and lessons learnt
Patricia PicchiottinoORCID Icon,Adeline PaignonORCID Icon,Liudmyla Hesse,Sophie Bos,Joanne Wiesner ContiORCID Icon,Marie P. SchneiderORCID Icon & show all
Received 02 Oct 2023, Accepted 30 Mar 2024, Published online: 24 Apr 2024
Cite this article https://doi.org/10.1080/13561820.2024.2339291

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13561820.2024.2339291

最近の研究では、シリアスゲームは専門職間教育(IPE)の有望な戦略であることが示唆されている。本報告では、スイス・ジュネーブのIPEカリキュラムに組み込まれた、モバイル技術を駆使した大規模なシリアスゲームのデザインとパイロットテストについて述べる。8人1組のチームに編成された学生たちは、集中治療室から脱走したばかりの若い患者を探すという課題を与えられた。一連の10のステーションを通して、彼らは医療システムの病院や地域に根ざした場所を探索し、さまざまな学習やゲーム活動に従事した。7つの分野(医学、助産学、看護学、栄養・栄養学、薬学、理学療法学、診療放射線技術学)から合計582人の学部生が参加した。

結果:

参加者: 総勢582名の学部生が参加し、アンケートの回答率は62.8%でした。参加者の内訳は看護学172名、医学150名、薬学94名、医療放射線技術48名、理学療法45名、栄養・食事療法39名、助産学34名でした。

肯定的なフィードバック: 学生の大多数がこのゲームを評価し、特に他の職種から学ぶ協働経験を楽しんだと報告しました。アンケート項目では、「ヘルスケアシステムについて学んだ」と回答した学生が67.7%、「他の医療専門職の役割について理解が深まった」が68.8%、「インタープロフェッショナルなチームワークを体験した」が81.3%という結果でした。

改善点: 物語の流れが複雑であったこと、学生の移動の流れが最適でなかったことが指摘されました。また、技術的な面でも改善が求められ、例えばQRコードの読み取りやインターフェースの使いやすさについての指摘がありました。

考察:

教育的影響: シリアスゲームは、学生が他の職種から学び、協働する能力を育成する上で効果的でした。この結果は、以前の研究結果とも一致しており、学生の興味と動機を高める効果が報告されています。

課題: ゲームの物語と学習課題、ゲーム活動の間の連携が十分でなかった点が課題として挙げられました。学生からのフィードバックを基に、物語の簡略化と報酬メカニズムの改善が求められています。

技術的な問題: モバイル技術は学生に現実のヘルスケア環境を探索する機会を提供しましたが、一方でスマートフォンの使用が対人コミュニケーションとチームダイナミクスに悪影響を与えるという報告もありました。

結論:

学び: 将来的には物語の簡略化、学生の移動の流れの最適化、学習課題とゲーム活動の統合を改善する必要があります。この研究から得られた教訓は、他の教育機関が大規模な学生グループに対するIPE活動を設計・実施する際に役立つでしょう。