医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

オンライン学習における臨床前女子学生の準備態勢、学業成績、満足度の分析:カリキュラム改訂と将来の実施のための質の評価

Analysis of female pre-clinical students’ readiness, academic performance and satisfaction in online learning: an assessment of quality for curriculum revision and future implementation
Kavitha Ganesh, Najwa Abdur Rashid, Raja El Hasnaoui, Rasha Assiri & Mary Anne W. Cordero 
BMC Medical Education volume 23, Article number: 523 (2023) 

bmcmededuc.biomedcentral.com

 

背景
様々な研究で報告されているように、特にコロナウイルス感染症2019年危機の際に、医学生や歯学生によるオンラインコースの受け入れは相当なものである。しかし、パンデミック時の学生の好ましくないオンライン学習経験も強調されている。教育-学習プロセスが「新常態」に戻りつつある中、パンデミック危機時に実施されたオンライン学習ドメインのうち、今後臨床前コースに応用可能なものを特定する必要がある。

方法
検証済みの学生オンライン学習準備アンケートを用いて、臨床前学生のオンライン学習能力を評価した。パンデミック後の対面式での学生の学業成績を、パンデミック危機時のオンライン環境での成績と比較した。オンライン学習に対する学生の満足度は、自作の調査票を用いて評価した。収集したデータの分析には、記述統計、t検定、重回帰分析を用い、p値≦0.05を統計的に有意とみなした。

結果
回答者の47.5%が「準備ができていない」と回答したクラスメートやグループメイトとの社会的スキルを除けば、ほとんどの学生がオンライン学習への準備を整えていた。理論面では、オンライン学習者が従来の学習者を上回ったが、その差は僅少であった。対照的に、学生の実践的スキルは対面式の方が有意に高かった(p = 0.029)。学生は、オンライン学習に対する満足度について、講師やスタッフとのインタラクションを高く評価し、クラスメートやグループメイトとのインタラクション、スキルの習得を低く評価した。

考察

OLへの準備:50%以上の学生がOLへの準備態勢を示したが、ほとんどの学生は仲間との社会的能力に苦慮していた。このことは、OLは交流の機会が限られているために孤独感をもたらす可能性があるという、これまでの調査結果を浮き彫りにしている。

社会的相互作用:OLにおける社会的相互作用の重要な役割から、学部はOLプラットフォームの双方向機能を利用し、学生の相互作用を強化することが示唆される。学生のさまざまな社会的ニーズに対応することは、特にオンラインセッション中に受動的に見える学生にとって不可欠である。

実践的対理論的:理論的な学業成績には、OLと対面学習の間に有意差はなかった。しかし、実践的なスキルは対面式の方が習得しやすかった。先行研究では、実践的な要素については対面式が有利とする結果と、基本的な実践スキルについてはOLが可能であることを示す結果とが混在していた。

満足度:おそらく教員が学生の参加と交流のために特別な努力をしたためであろう。しかし、仲間との交流については満足度が低かった。

成績:社会的交流と学業成績には関連性がある。OLにおけるエンゲージメントの重要性を示す他の研究と同様に、エンゲージメントの高い学生は成績が良かった。

介入策:OLの欠点、特に実技の欠点に対処するためには、対面学習のような介入が重要である。学問的・社会的相互作用を促進する戦略は、OLの成果を高めるために不可欠である。

限界

本研究は女子大学にのみ焦点を当てたため、男女の不均衡が生じた。
OLへの準備態勢を測定するために使用されたツールは、主観的である自覚的能力を評価するものであった。

結論

OLは理論的な医学カリキュラムを効果的に提供できるが、実践的な要素は対面式で行うべきである。OLを成功裏に実施するためには、継続的な評価と各機関に合わせた方針が不可欠である。アカデミック・リーダーとカリキュラム開発者は、OLで直面するユニークな課題に対処しなければならない。