医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

保健医療専門職教育における支援と評価の組み合わせ: プログラムアセスメントの文脈におけるメンターとメンティーの経験

Combining Support and Assessment in Health Professions Education: Mentors’ and Mentees’ Experiences in a Programmatic Assessment Context
Authors:
Lianne M. LoosveldEmail Lianne M. Loosveld
Erik W. Driessen
Mattias Theys
Pascal W. M. Van Gerven
Eline Vanassche

Combining Support and Assessment in Health Professions Education: Mentors’ and Mentees’ Experiences in a Programmatic Assessment Context - Perspectives on Medical Education

 

はじめに

プログラムアセスメントにおけるメンターは、メンティーを低リスクのフィードバックでサポートするが、それはしばしば高リスクの意思決定のためのインプットとしても機能する。このプロセスは、メンターとメンティーの関係に緊張をもたらす可能性がある。本研究では、保健医療専門職教育における学部生のメンターとメンティーが、発達支援と評価の組み合わせをどのように経験しているか、また、このことが彼らの関係にどのような意味を持つかを調査した。

 

方法

著者らは実践的質的研究アプローチを選択し、医学と生物医学の学習者を含む24人のメンターと11人のメンティーに対して、半構造化ヴィネットに基づくインタビューを行った。データはテーマ別に分析された。

 

結果

参加者がどのように発達支援と評価を組み合わせているかは様々であった。う

評価がメンタリングの自然な一部であると感じるメンターとメンティーがいる一方で、評価が付加的でややバラバラな作業であると感じるメンターもいるなど、さまざまな経験があることが明らかになった。

サポートとアセスメントの融合において緊張を経験したメンターとメンティーのペアでは、この摩擦が関係の質、信頼、依存、会話の性質に影響を与えた。場合によっては、この緊張は、プログラムレベルでのアセスメントの実施方法によって悪化した。

このような緊張を経験したメンターは、緊張を緩和するために様々な戦略を採用した。以下がその例である:1)透明性を高め、期待を管理する、2)育成支援と評価を明確に区別する、3)評価の責任を正当化する、などである。また、メンティーも、明確な定義はないものの、同様の戦略を挙げている。

本研究では、これらの発見を視覚化するために、比喩的な「緊張温度計」を導入している。この温度計は、左右の様々な要因によって影響される「緊張の温度」と、それが異なる戦略によってどのように緩和されるかを示している。これらの要素については、以下のセクションでさらに説明する。

 

考察

本研究では、学部のメンター関係において、発達支援と評価という2つの役割がどのように作用するかについて論じている。その結果、メンターとメンティーの中には、その関係の縦断的な性質から、メンターが両方の役割を担うことに本質的な緊張は生じないことがわかった。しかし、メンターとメンティーの関係が最適でなかったり、評価が不利であったり、プログラム上の評価がサポートと評価の統合を妨げているような場合には、これらの役割の組み合わせが緊張を生むこともある。緊張が生じると、関係の質、信頼関係、会話の性質に影響を与える。メンターたちは、緊張を和らげるために、透明性を高める、サポートと評価を区別する、両分野における自分の役割を正当化するなど、さまざまな戦略を用いた。

報告された経験は、サポートと評価を組み合わせることが一定の条件下で実現可能であると考えられている他の研究と類似している。主な条件としては、評価が公正で透明性があり、目的に合致しており、信頼できる情報源から提供されたものであると認識されることである。

個人的な解釈の枠組みから見ると、メンターとメンティーの中には、自分の理想とするメンタリング関係と、専門的な文脈で求められるものとの間に不一致を経験する人もいる。この不一致は、メンターの専門家としての自己理解に影響を与える可能性がある。

実践的な意味合いとしては、明確な評価ガイドラインの必要性、プログラムが人為的な振り返りや標準化された振り返りの方法を促進しないようにすること、潜在的な緊張に対処できるようにメンターを準備することなどが挙げられる。FD活動やピアコンサルティングは、これらの分野で指導者をサポートすることができる。よく設計されたプログラム、明確な役割と責任、評価者トレーニング、および定期的なキャリブレーションセッションは、公正な評価の共有メンタルモデルを作成するのに役立つであろう。

本研究は、先行研究ではあまり研究されていない、教室ベースのプログラムにおける学部生のメンターとメンティーに焦点を当てることで、新たな視点を加えた。しかし、特殊な文脈であるため、得られた知見は異なる環境やプログラムの評価デザインには当てはまらないかもしれない。異なる文脈やメンティーの役割に関する研究をさらに進めることで、支援と評価のバランスを管理するためのより深い洞察が得られる可能性がある。

結論

本研究は、評価と明確な責任のプログラムがうまく実施されれば、学部のメンターが過度の緊張を招くことなく、効果的に発達支援と評価を提供できることを示唆している。緊張感のない関係を確保するためには、継続的な話し合い、微調整、期待事項の合意が必要である。