医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

ピアティーチングによる研修医学生の知識習得の促進:呼吸器内科における研究

Enhancing knowledge mastery in resident students through peer-teaching: a study in respiratory medicine

Chen Zhu, Heshen Tian, Fugui Yan, Jing Xue & Wen Li 

BMC Medical Education volume 24, Article number: 350 (2024)

bmcmededuc.biomedcentral.com

Imagine a modern hospital or university classroom, brightly lit with natural light streaming through windows. In the center, a group of resident students surrounds a peer teacher, who stands confidently, pointing towards a large, interactive digital whiteboard. The whiteboard displays a detailed and colorful diagram of the human respiratory system, highlighting the lungs, bronchi, and trachea. The peer teacher is using a laser pointer to indicate specific parts of the diagram, explaining a complex concept, such as the mechanism of asthma or pneumonia. The students around are deeply engaged, some taking notes on digital tablets, others asking insightful questions, and a few referencing open medical textbooks on their desks. The scene embodies a collaborative and innovative learning environment, showcasing the effectiveness of peer-teaching in the specialized field of respiratory medicine. The atmosphere is one of enthusiasm and mutual support, with technology playing a key role in enhancing the learning experience.
 
 

目的
医学生から有能な医師への移行には、レジデント・プログラムでの包括的なトレーニングが必要である。中国では、研修医は通常2~3年の研修プログラムを受ける。彼らは経験豊富な医師の指導の下、患者との相互作用から学ぶが、教科書の理論的知識を実際の症例に統合することは依然として課題である。本研究の目的は、研修医学生の知識習得にピアスタディとしての研修医が与える影響を探ることである。

研究方法
本研究の参加者は、浙江大学医学部第二付属病院の呼吸器内科を専門とする研修医学生である。研修医学生には、呼吸器科の研修医をボランティアで指導する機会が与えられた。研修医を指導することを選択した者は自動的に試験群に入れられ、研修医指導に参加しないことを選択した者は対照群となった。ピアティーチャーとしての役割として、研修医学生は、最初の研修から退院までの全過程において、研修医を患者管理面で指導する責任を負い、その期間は最低2週間であった。研修医学生の学業成績は、ローテーション終了時に実施された50問の選択問題からなる学科試験によって評価された。ピアティーチングが研修医の学生の成績に与える影響を評価するために統計分析を行った。

*ピアティーチング

  1. 医学研修生とインターンのマッチング: 研修生とインターンがお互いの選択に基づき、小規模な医療チームを自発的に形成します。このプロセスでは、双方の合意に基づいて正式なマッチングが行われ、契約が結ばれます。

  2. 指導の実践: 研修生はインターンに対し、患者管理から医療手続き、診断方法の説明、臨床決定の初歩まで、幅広い指導を行います。具体的には、テキストやガイドラインの共同学習、処方技術、医療文書の作成、血液検査や心電図などの検査結果の分析などが含まれます。

  3. 指導の基準: 有効な指導として認められるためには、以下の基準を満たす必要があります。

    • 期間: 指導は最低10営業日以上続ける必要があります。
    • 日々の指導時間: 毎日最低2時間以上を指導に割り当てます。
    • 患者関与: 指定期間中に少なくとも5人の患者に関与すること。
  4. 評価: 各医学研修生-インターンのペアからは、回転終了時にアンケートによるフィードバックが収集されます。アンケートは一般情報、責任感、コミュニケーション、参加意欲、満足度、改善提案などを評価する内容で構成されています。

結果
2023年1月から2023年6月までに、合計158名の研修医が呼吸器科でのローテーションを修了した。そのうち40名の研修医が研修医の指導を進んで引き受けたが、118名の研修医は研修医の指導に参加しなかった。「一対一」の指導方針により、インターン全体の満足度は95.35%という素晴らしいものであった。ローテーション前のテスト得点は、テスト群が平均81.66±8.325点(平均±SD)、対照群が平均81.66±8.002点で、有意差はなかった。学科試験の成績は、試験群の平均が85.60±7.886点であったのに対し、対照群の平均は82.25±8.292点で、統計学的に有意な差があった(p = 0.027)。

考察

  • 肯定的な影響: この"一対一"の教育方針は、研修生にとって、インターンを指導する過程で自らの知識を再確認し、深める機会となりました。さらに、指導能力やコミュニケーションスキルの向上にもつながります。

  • インターンの満足度: インターンからのフィードバックは圧倒的に肯定的で、参加したインターンの95.35%が高い満足度を示しました。これは、研修生が責任を持って指導に当たったこと、インターンが参加感と帰属感を感じたことを示しています。

  • 学習効果の相互性: "一対一"の教育方針は、教える側の研修生だけでなく、学ぶ側のインターンにも肯定的な学習効果をもたらすことが期待されます。研修生は教育者としての役割を果たすことで、自己の知識とスキルを確認し、強化することができます。また、インターンは研修生から直接指導を受けることで、臨床現場での即戦力としての能力を高めることができます。

結論
結論として、本研究は、ピアティーチングが研修医の学生の知識習得にプラスの影響を与えることを強調している。