医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

医学部学生の学力向上における反転授業モデルのインパクト

Impact of flipped classroom model in increasing the achievement for medical students
Hanadi Abdelgadir Ahmed Sourg, Shahenaz Satti, Nasereldin Ahmed & Adil Ballal Mohammed Ahmed 
BMC Medical Education volume 23, Article number: 287 (2023)

bmcmededuc.biomedcentral.com

 

背景
ここ数年、インターネットやテクノロジーを教育目的に利用することが並行して発展しています。講師が使用する反転授業モデル(FCM)は、講義をするよりも、学生との交流に時間をかけることを目的としています。医学部では、従来の講義と比較して、学生のパフォーマンスや認識に対するFCMの有効性に関する研究は非常に少ない。本研究では、スーダンのアルネライン大学医学部の学生を対象に、FCMが学生の学業成績に及ぼす効果を、従来の講義と比較して、成績と認識の向上という観点から評価する。

方法
この症例対照研究は、アル・ニーライン大学の医学生を対象に、反転授業(FCM)と従来の講義を比較し、学生の学業成績に及ぼす影響について検討したものである。学生を2つのグループ(A & B)に無作為に割り付け、反転授業グループA(30名をテスト)と伝統的授業グループB(33名をコントロール)とした。主な成果指標は、学生の学業成績評価に用いるプレテストとポストテストの結果、およびFCMに関する学生の認識評価に用いるアンケートである。最後に、SPSSプログラムを用いて統計解析を行った。

結果
各グループ(A、B)内では、プレテストとポストテストのスコアはP<.000と高い統計的差異を示したが、研究グループのプレテストとポストテストのスコアを比較すると、プレテストとポストテストのスコアにはそれぞれP=0.912、0.100と統計的有意差がないことがわかった。しかし、8割以上の参加者が反転授業の利用に満足していることがわかった。また、FCMを使用した場合、90%以上の生徒が学習目標を達成するために、反転教室での学習意欲を高めていた。

結論

本研究は、従来の講義と比較した反転授業モデル(FCM)の効果を、学生の成績と態度の観点から評価することを目的としている。その結果、2つのグループのテスト前とテスト後のスコアに統計的に有意な差は見られなかった。これは、準備期間が短かったことと、FCMが学生にとって新しいアプローチであったことに起因していると思われる。しかし、学生のFCMに対する認識は概ね肯定的であり、80%以上の参加者がFCMに満足していることがわかった。

FCMの有効性については、いくつかの研究で相反する結果が報告されており、学生の成績が向上したとするものもあれば、従来の教授法と比較して有意な差がなかったとするものもある。教科、コースデザイン、学習期間などの要因が、結果の異質性に寄与していると考えられる。

結論として、大多数の学生がFCM方式を支持し、学業成績には大きな影響を与えなかったものの、生徒の学習成績や学習態度の改善にはFCM方式がより効果的であることがわかった。この研究の限界は、サンプル数が少ないことと、異なる国での長期的な実験についての調査が不足していることである。