医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

病棟回診時の携帯型電子機器使用の是非とCOVID-19パンデミックの影響について

The Pros and Cons of Use of Handheld Electronic Devices During Ward Rounds and the Impact of the COVID-19 Pandemic

Authors Suliman S, Akbar R, Yousaf Z , Ghazouani H, Al-Mohanadi D, Al-Mohammed A , Alkhal A 

Received 30 October 2022

Accepted for publication 10 March 2023

Published 16 March 2023 Volume 2023:14 Pages 245—255

DOI https://doi.org/10.2147/AMEP.S395501

www.dovepress.com

 

目的

医療従事者の間で携帯型電子機器(HED)の利用が急増しており、臨床ワークフローを強化し、患者ケアを向上させる可能性が示されています。しかし、病棟回診時にこれらの機器を携帯することの課題やリスク、大学院生(PGT)のトレーニングへの影響については、一般的に、より具体的にはCOVID-19パンデミックの際に調査する必要がある。

方法

カタールのAccreditation Council for Graduate Medical Education International認定研修医およびフェローシッププログラムの研修生と教員の、臨床ワークフローにおけるHEDの使用、研修生の教育、COVID-19パンデミックの影響に関する認識を評価するために、横断的混合法オンライン調査を実施した。本研究には158名の参加者が登録された(87名の卒後研修生と71名の教員)。STATAバージョン12を用いて探索的データ解析と記述統計を行い、Atlas.ti定性ソフトウェア、バージョン9.4.0を用いて、調査の自由形式の質問に対する301の質的回答を主題分析した。

結果

ほぼすべてのPGT83名(95.4%)、教員43名(62.3%)が病棟回診でHEDを使用している。PGT73名(94.8%)、教員46名(84.4%)が患者情報にアクセスできること、作業効率が主なメリットとして認識されていた。チームメンバー間のコミュニケーションの妨げ、患者との交流の妨げ、感染リスクの増加、患者の機密保持の違反などが、HEDの使用に関連する課題として挙げられた。携帯用具の使用により、研修生による手指衛生の実践や患者の身体診察の頻度が低下した。COVID-19の流行により、教員[38(64%)]とPGT[42(60%)]の両方がHEDの使用を減少させた。

結論

HEDの使用は、病棟回診における新しい現実である。この結果は、教員と大学院生の両方の視点から、これまでの文献に追加されたものである。この結果は、ワークフロー、研修生の教育、患者の体験を向上させるというHEDの使用の付加価値を示唆するものである。COVID-19のパンデミック時には使用が減少し、COVID病棟では禁止されているにもかかわらず、HEDの使用は患者ケアを促進させた。しかし、HEDの使用は、気が散る原因となり、患者との交流を減らし、患者の守秘義務に違反する危険性を高める。また、病棟回診時の議論の妨げとなり、研修生による身体診察の実践を減らすなど、研修生の教育にマイナスの影響を与える可能性がある。本研究は、HEDsデバイスの価値を示すとともに、特にパンデミック状況下におけるそのリスクに対処するものである。本研究の結果は、卒後医学教育指導者が病棟回診時の使用を監視し、研修生の教育効果、患者データの機密保持、感染対策などを確保するために採用すべき対策についての今後の研究の基礎となる。後者は、特にパンデミック状況下において最も重要である。