医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

ユニークなレンズ。研修医を評価するために看護師が最も適した立場にあることの理解

A Unique Lens: Understanding What Nurses Are Best Positioned to Assess About Residents 
Kimiko S. Dunbar, MD; Laura E. Chiel, MD; Dennis P. Doherty, PhD, RN, NPD-BC; Ariel S. Winn, MD; Carolyn H. Marcus, MD
J Grad Med Educ (2022) 14 (6): 687–695.
https://doi.org/10.4300/JGME-D-22-00317.1

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背景
研修医のフィードバックは、一般に主治医から求められるが、看護師も明確な領域に関するフィードバックを提供することができる。医師は、看護師が自分の専門外の領域について質問されていると認識した場合、看護師からのフィードバックを受け入れることをためらうことがある。看護師が評価するのに適した研修医の行動を理解することは、看護師から研修医へのフィードバックの実施を成功させるために重要である。

目的
看護師と研修医双方の視点から、看護師が評価するのに適している研修医の具体的な行動を理解すること。

方法
2020年の大規模独立型小児病院において、研修医20名とのフォーカスグループ5回と看護師17名とのフォーカスグループ5回をテーマ別分析により質的調査を行った。2名のレビュアーがコードブックを作成し、その後、すべての転写物を分析した。コードは、テーマとサブテーマに整理された。最終的な分析に先立ち、主題の飽和が確認された。

結果
4つの主要なテーマが抽出された。看護師は、(1)研修医の多職種協働実習について、(2)研修医の患者・家族とのコミュニケーションについて、(3)患者・家族の代理としてフィードバックを提供する立場にある。このうち、看護師がフィードバックできる具体的な行動については、サブテーマとして設定した。第4のテーマは、看護師によるフィードバックに適さないと思われるテーマ、すなわち医療上の意思決定と研修医の対応についてであった。

 

本研究で得られた新しい知見として、参加者は、看護師が患者や家族の代わりにフィードバックを提供し、家族の経験の代理人として機能することができるかもしれないと述べていることが挙げられます。しかし、患者からのフィードバックは、マルチソース・フィードバックにおいて最も捉えにくい視点である。この課題には、患者・家族の都合や特定の研修医を特定することの難しさなど、多くの要因がある。こうした課題を考えると、患者からの直接フィードバックを促す最善の方法を明らかにする研究を継続しつつ、看護師が患者に代わってフィードバックできるかもしれないという今回の発見は、この重要な視点をより現実的に得るための暫定手段として有用であると思われる。ただし、今回の調査では、看護師からのフィードバックが患者・家族からのフィードバックと一致するかどうかは調べていないため、この点には注意が必要である。

 

結論
看護師と研修医は、研修医育成における看護フィードバックを重視し、看護フィードバックは指導医や同僚などの他の個人では捉えられない視点を提供することを表明している。看護師は研修医に対して、多職種連携スキル、患者・家族とのコミュニケーション、患者・家族の代弁などについて、どのようなフィードバックを行うことができるかを説明した。最後に、医療上の意思決定や研修医の対応については、看護師によるフィードバックの対象として理想的なテーマとは言えないかもしれない。