医学教育つれづれ

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日本の医学部における社会的説明責任に対する現在の認識。質的内容分析

Current perception of social accountability of medical schools in Japan: A qualitative content analysis
Hiroko MoriORCID Icon, Masashi IzumiyaORCID Icon, Mikio HayashiORCID Icon & Masato EtoORCID Icon
Published online: 02 Nov 2022
Download citation  https://doi.org/10.1080/0142159X.2022.2140033   

 

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2022.2140033?af=R

 

ポイント

日本の医学部の社会的説明責任のテーマの多くは、世界のフレームワークと共通するが、自然災害への対応、歴史的事象への対応、実態への対応など、日本の文脈に特徴的なテーマもある。

医学部全体の社会的説明責任について普遍的に理解するためには、地域の状況による差異を明らかにし、認識することが必要である。

 

 

はじめに

医学部における社会的説明責任の概念は、世界的に認められているが、日本の医学部に関するデータは不足しており、不明確である。本研究では、日本の医学部における社会的説明責任に対する認識を明らかにし、グローバルな枠組みとの比較を行うことを目的とした。

調査方法

日本の医学部認定基準に関する文書(Basic Medical Education: WFME Global Standards for Quality Improvement)を用いた。45校を対象に、帰納的カテゴリー形成による質的内容分析を行った。また、社会的義務尺度を用いて文書を評価した。

結果

3つの主要なカテゴリーと15のカテゴリーが確認された。3つの主要なカテゴリは以下の通りである。社会的課題」「医学部の質保証」「個人の質の向上」である。ほとんどのカテゴリーは、世界的なフレームワークと共通であったが、日本の文脈に特徴的なカテゴリーもあった。また、6つの要素における社会的義務尺度の分布は、国の政策によって推進されている要素を除き、主に「責任から対応へ」または「同等」に変化していた。

結論

日本の医学部の社会的説明責任は、グローバルなフレームワークとほぼ共通している。この結果は、医学部の社会的説明責任が国境を越えて理解され、発展していくことに役立つと思われる。