医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

文化安全教育ゲームジャムで医学生が作成した教育用ゲーム:質的記述的研究

Educational games created by medical students in a cultural safety training game jam: a qualitative descriptive study
Juan Pimentel, Paola López, Camilo Correal, Anne Cockcroft & Neil Andersson 
BMC Medical Education volume 22, Article number: 805 (2022)

bmcmededuc.biomedcentral.com

 

背景
医療従事者が自らの文化を振り返り、患者の文化的アイデンティティを尊重することを学ぶ文化的安全性トレーニングは、医療における異文化間の緊張に対処することができる。しかし、医学生は医学教育の文脈から、このようなトレーニングは退屈なもの、あるいは不要なものであると認識するかもしれない。ゲームジャムは、ゲームを作り、遊ぶための共同ワークショップであり、今日の医学生にとって魅力的な学習環境となる可能性があります。しかし、医学生がゲームを作りながらどのように学習しているのかについては、あまり知られていない。本研究では、文化安全ゲームジャムの参加者が作成した教育ゲームの特徴と、ゲーム作成に使用したコンセプトについて述べる。

 

研究方法
コロンビアの医学生268名が48のグループに分かれ、8時間のゲームジャムに参加し、文化的安全性に関する教育ゲームのプロトタイプを作成する試験の一環である。この質的記述研究では、参加者がアップロードしたゲームの名前、目的、ゲームシナリオ、ルール、報酬、罰則、写真などの記述を検討した。また、帰納的主題分析により、その記述を照合した。

 

結果
ゲームの説明文は、教育ゲームの特徴と、学生がゲーム制作に用いた文化的安全性の概念の側面を示していた。医学生は、文化的安全性を、文化的に安全でない行為と文化的安全性の連続体の中に位置づけていた。また、ゲームデザインに不慣れな学生でも、ゲームのダイナミクス、ゲームシナリオ、学習目標、教育戦略など、基本的な教育ゲームのプロトタイプをデザインすることができた。

figure 1


医学生が作成した文化的安全性に関する教育ゲームのプロトタイプ。蛇と梯子(a,d)、カルカソンヌ・アマゾナス(b)、モノポリー(c)など、ボードゲームを題材としたものがある。また、ボードゲーム以外のゲームも作成した(e、f)。

 

まとめ
本研究では、教育用ゲームの特徴と、学生がゲーム制作に用いた文化的安全性アプローチの側面が明らかになった。ゲームジャム学習を通じて学生が得た学習体験は、変容的学習や構成主義の理論と一致する。この情報は、ゲームデザインのスキルを持たないゲームジャム参加者が8時間でどのようなゲームを作ることができるのか、学生がゲーム作りに用いることができる文化的安全性の側面、ゲームジャム学習に用いることができる学習理論について、研究者や教育者の理解を助けることができるだろう。