医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

医学を学ぶための「資格の中心」としての生物学の根拠は何か?レトロスペクティブ分析

What is the evidence for biology as the ‘heart of eligibility’ to study medicine? A retrospective analysis
Rathi Saravanan, Ramya Chandrasekaran, Jennifer Anne ClelandORCID Icon & Sreenivasulu Reddy Mogali
Published online: 31 Oct 2022
Download citation  https://doi.org/10.1080/0142159X.2022.2140035 

 

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2022.2140035?af=R

 

ポイント

アジアの多くの国では、生物学は(学部)医学を学ぶための必須科目である。

しかし、生物学の資格が医学部での学生の成績と関連するという証拠はほとんどない。

私たちは、早期統合筆記試験と解剖学実技試験において、生物学のある学生とない学生の成績に有意な差がないことを発見しました。

このことは、生物学が医学部進学の「資格の中心」ではない可能性を示唆しています。

入試関係者には、その前提条件が守れるものであるか、必要なものであるかを検討することを強く求めます。

 

医学部入学のための最初の、時には唯一の選抜手段は、事前教育到達度(PEA)である。例えば、多くのアジア諸国では、生物学は医学部入学のための必須科目である。しかし、この前提条件には明確な根拠がないように思われる。そこで、我々の目的は、1年目と2年目のBachelor of Medicine and Bachelor of Surgery (MBBS) 総合筆記試験(n = 3)と解剖学実技試験(APE)(n = 5)において、生物学PEAの有無にかかわらず5コホートの学生(2015-2019入学、n = 588)の成績を比較するレトロスペクティブ定量調査を実施することであった。本研究は、シンガポールの3つの医学部のうちの1つで実施された。データは独立t検定とMann-Whitney Uを用いて分析し、p値0.05未満を有意とした。1年目、2年目のいずれの総合筆記試験においても、成績に有意な差は見られなかった。同様に、APEの1つでは、5つの評価のうち1つのコホート(学年度[AY]2015-2016)で有意差が認められた。これらの結果は、医学部初期において、生物学の事前資格の有無が評価成績に差をつけないことを示唆している。この情報は、関係者や入試委員会が医学部入学に生物を必須とするかどうかを決定するのに役立つと思われる。