医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

COVID-19パンデミックにおける日本人医学生の感染症学専攻への関心度.Webを用いた横断的研究

Interest in Infectious Diseases specialty among Japanese medical students amidst the COVID-19 pandemic: A web-based, cross-sectional study
Hideharu Hagiya , Yuki Otsuka, Kazuki Tokumasu, Hiroyuki Honda, Yoshito Nishimura, Mikako Obika, Fumio Otsuka
Published: April 21, 2022
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0267587

journals.plos.org

 

はじめに

2019年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の出現は、医療現場や社会に大きな混乱をもたらした。感染症(ID)専門医の不足が指摘される日本では、専門家の育成・教育の意義がますます認識されてきている。本稿では、COVID-19パンデミック医学生のID専門医に対する意識と将来の職業選択にどのような影響を与えたかを明らかにするために実施したWebアンケートの結果を報告する。

 

調査方法

本調査は、2021年3月に岡山大学医学部に所属する医学生717名を対象に実施した横断的記述式研究である。質問項目は、ID専門医に関する知識および将来の職業選択に関する意向を調査するための4つの質問から構成されている。

 

調査結果

アンケート対象者は328名であった(回収率45.7%)。ID専門家を知っている学生227名(69.2%)のうち,99名(43.6%)が「パンデミック後に知った」,12名(3.7%)が「パンデミック中に興味を持った」,36名(11.0%)が「なりたくない」と回答した.なお、調査時点でIDスペシャリストを目指している学生は5名(1.5%)であった。

 

まとめ

今回のデータは、未曾有のパンデミックの経験が、日本の医学生に将来の専門分野としてIDを選択することを促していないことを示唆している。しかし、今後、新たなパンデミックが発生した場合、ID専門医は医療機関や公衆衛生における感染予防対策の実施に主導的な役割を果たすことが期待される。12名(3.7%)と少数ではありますが、今回のデータから、パンデミック時にID専門医に興味を持った学生がいたことを期待します。日本におけるID専門医の数を増やすために、私たちは採用活動を続ける必要があります。