医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

スリランカの医科大学におけるオープンエデュケーションリソースとソーシャルメディアの学生利用について

 

Student usage of open educational resources and social media at a Sri Lanka Medical School

Samankumara Hettige, Eshani Dasanayaka & Dileepa Senajith Ediriweera 
BMC Medical Education volume 22, Article number: 35 (2022) 

 

 

bmcmededuc.biomedcentral.com

 

背景
昨今の大学生の間では、学術的な情報を得るためにオープン教育リソース(OER)やソーシャルメディア(SM)を利用することが一般的になっています。

オープン教育資源(OER)とは,ウェブ上で自由に利用できる教育・学習資源のことである.これには、オンラインコース、コース教材、教科書、ビデオ、試験問題、模擬試験、ソフトウェア、その他知識へのアクセスをサポートするあらゆるツールが含まれる。Web上でUser Generated Contentの作成と交換を可能にするアプリケーション群は、Social Media (SM)と定義されています。

しかし、スリランカの教育現場におけるOERとSMの利用に関するデータは限られている。本研究は、スリランカのケラニヤ大学医学部の医学生を対象に、教育におけるOERとSMの利用を評価することを目的とした。

 

研究方法

ラニヤ大学医学部で横断的な研究を行った。層化無作為抽出法を用いて、1年生から最終学年までの学生を抽出した。データ収集には、自記式の質問票を用いた。

 

調査結果

調査対象者は257名(回答率89.5%)で、そのうち185名(72.0%)が女性であった。学生の月1回以上の教育目的でのOERとSMの利用率は、それぞれ96.1%(95%CI:93.7-98.5%)と88.3%(95%CI:84.4-92.3%)であった。OERとSMの利用に男女差はなかった。OERにアクセスする主な理由は、「いつでも情報を入手できる」(36.1%)、「情報へのアクセスが容易」(31.5%)であった。OERとSMのプラットフォームとしては、Wikiサイト(84.4%)とFacebook(79.8%)へのアクセスが多かった。大多数の学生は、ウィキ・サイトの情報(51.4%)と、特定の目的以外の一般的なウェブ検索の結果(56.0%)が信頼できると考えていた。教育機関や政府関連の情報を検索したことがある学生は33.9%、電子ジャーナルにアクセスしたことがある学生は18.7%にとどまった。SMを通じて、79.0%が教育関係のグループに参加し、77.0%が医療関係のサイト、ページ、人をフォローしていた。3分の1以上の学生(35.8%)は、情報過多のためにSMから学術的な情報を見つけられず、31.1%はSMが教育の妨げになっていると述べた。

 

結論

本研究では、ほとんどの学生が教育のためにOERとSMを利用していることが明らかになった。OERではWikiサイトが、SMではFacebookが最も利用されていた。SMでは日常的な教育アクセスが高く、情報過多が主な障害となっていた。学生はSMを利用する際に集中力の低下を懸念していた。信頼できる情報を見つける能力は学生の間では低かった。したがって、学生がOERやSMを含むウェブベースの技術の恩恵を最大限に受けるためには、学生のILを向上させる必要がある。