医学教育つれづれ

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Covid-19パンデミック時の腹腔鏡および腹腔鏡下がん手術における遠隔指導

Remote mentoring in laparotomic and laparoscopic cancer surgery during Covid-19 pandemic: an experimental setup based on mixed reality
Michele Simone, Rocco GalatiORCID Icon, Graziana Barile, Emanuele Grasso, Raffaele De Luca, Carmine Cartanese,  show all
Article: 1996923 | Received 29 Mar 2021, Accepted 19 Oct 2021, Published online: 29 Oct 2021
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https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10872981.2021.1996923?af=R

 

概要

本論文では,Covid-19パンデミック時に研修中の医師に遠隔指導を行う目的で,手術室で腹腔鏡手術と開腹手術を行うためにMixed Reality(MR)を活用しました.採用されたアーキテクチャは、MRスマートグラス、デジタル・イメージング・プレーヤー、Mixed Reality Toolkitを組み合わせたもので、南イタリアのIRCCS Hospital 'Giovanni Paolo II'のがん手術に使用されました。

MRスマートグラスの使用に基づいた新しい高度な実験セットアップが、2020年3月から2020年12月までIRCCS病院で採用されました。これは、コヴィド-19パンデミックのために対面式のトレーニング活動が法律で停止された際に、遠隔指導を実施することを目的としています。

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・大静脈に浸潤した右副腎癌

MRスマートグラスを装着した外科医は、大静脈に浸潤した右副腎癌の手術を行いましたが、同時に患者のTC画像やMR画像をホログラムの形で見ることができました。また,手のジェスチャーだけで,空間のさまざまな場所に配置された仮想コンテンツを探索することもできました.

・胃切除術

スマートグラスを装着した外科医は,簡単な「ドラッグ・アンド・ドロップ」ジェスチャーで回転と拡大縮小を行いながら,胃切除術を行いました.また、MRツールを使って、患者の体に仮想のオブジェクト(画像、テキスト、動画)を追加し、手術中のガイダンスやメモとして利用することができました。

 

考案されたプラットフォームをリアルタイムの遠隔指導に使用することの実現性は、各手術後に研修生に配布されたアンケートに基づいて評価されています。

 

このアプローチの利点(ロックダウン中に不可能なトレーニング活動を可能にしたこと、血液検査や医療画像などのマルチメディアコンテンツをリアルタイムに共有できたこと)に加えて、いくつかの困難にも遭遇しました。それは主に、ハードウェアおよびソフトウェアプラットフォームの複雑な技術的調整(スマートグラスの動作をデジタルイメージングプレーヤーや医療画像を含むDICOMデータベースと同期させることなど)でした。このプラットフォームが完成してからは、Covid-19の制限が解除されたIRCCS病院でも使用されています。このツールは、将来的に他のパンデミックが発生した際にも、低コストで使用できることから、他の機関でも採用される可能性があると考えています。