医学教育つれづれ

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総合診療の早期実習は家庭医療のキャリア選択と関連する。システマティックレビューとメタアナリシス

Early generalist placements are associated with family medicine career choice: A systematic review and meta-analysis
Ajay Shah, Adi Gasner, Keyna Bracken, Ian Scott, Martina A. Kelly, Alessandra Palombo
First published: 02 June 2021 https://doi.org/10.1111/medu.14578

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/medu.14578?af=R

 

・システマティックレビューの目的

臨床実習前のプライマリ・ケア(PC)への曝露が、卒業生のレジデンシーにおける専門分野の選択に関連していることを示す証拠を文献から探し出すこと

・方法

このシステマティックレビューは,Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventions に準拠して実施し,Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses(PRISMA)に基づいて報告した

 

概要
はじめに

多くの先進国では、プライマリケア(PC)医師の不足が報告されています。正規の主治医がいないことは、健康状態の悪化につながる。この不足に対処するための一つの戦略は,医学生が家庭医療(FM)やPCのキャリアを選択する割合を増やすことである。このシステマティックレビューの目的は、研修前の総合診療施設での実習が、学生のFMまたはPC研修への関心や選択を高めるかどうかを明らかにすることである。

方法

3つのデータベース(PubMed、Embase、Web of Science)を用いて、医学部における実習前の総合診療科の実習に関する介入研究を検索した。プール統計解析およびメタ解析を行い,可能な場合はナラティブサマリーを加えた。介入参加者(IP)は、FMに対するベースラインの関心度をマッチさせた対照群(MC)と、マッチさせていない同世代の学生のサンプル(UC)と比較した。

調査結果

合計5430名の学生(介入参加者2428名、対照者3002名)を対象とした11件の研究が確認されました。IPは、MC(Risk Ratio: 1.62 [95% CI: 1.03-2.55])、UC(RR: 2.04 [1.46-2.86])と比べて、FMにマッチする可能性が高かった。長時間の介入(4~11週間)への参加は、短時間の介入(25~40時間)よりも高い確率でFMに一致した(RR:3.15 [2.28-4.35])。また、FM/PCを最も興味のある専門分野とする学生の割合は、実習後に増加した(平均差:+12.8%、n=586)。

結論

実習前の一般診療所での実習に参加した医学生は、FM研修にマッチする可能性が高かった。また、実習前の期間が長いほど、FM専門医の選択との関連が強かった。総合診療科のキャリアに対する関心を高めるためには、医学生に総合診療科の縦断的な実習を実施することが一つの戦略となる。