医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

臨床教育者のための共同執筆

Collaborative writing for clinical educators: recommendations from a community of scholars
Ardi Findyartini Subha Ramani Judy McKimm Alice Fornari
First published: 02 March 2021 https://doi.org/10.1111/tct.13329

 

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/tct.13329?af=R

 

Health professions’ education (HPE)の研究に従事したいと考えている臨床教育者は、教育理論とその教育実践への応用との交差点にいる。しかし、臨床現場での負担が大きいため、学術論文を書く時間や場所を確保できないことが多い。さまざまなレベルの専門知識を持ち、異なる医療専門職やキャリアの段階にあるメンバーで構成された共同執筆チームに参加することは、臨床家が学術論文に貢献する貴重な機会となります。また、このような共同作業は、臨床現場における研究と教育実践のギャップを埋めることにもなります。本論文では、共同執筆の利点を強調するとともに、臨床教育者が執筆プロジェクトを開始する際の課題を説明し、その解決策の可能性を示します。また、文献や私たち自身の経験に基づいた、共同執筆のための体系的なアプローチを紹介します。提言を支えるのは、奨学金の種類と基準、リーダーシップとフォロワーシップ、実践共同体という3つの重要なコンセプトです。チームプロジェクトを成功させるためには、心理的安全性、メンタリング、成長思考が不可欠であることを強調しています。最後に、臨床教育における共同執筆グループは、強力な実践共同体となり、その分野への全体的な貢献度は部分の合計よりも大きくなる可能性があることを論じています。


キャリアの浅い臨床教育者にとって、共同執筆はキャリアアップや教育者としての信頼性の獲得に役立ちます。

 

共同執筆の問題
・個々のメンバー

 ライティングスキル

 どこから手をつけていいかわからない

 フォロワーとしての能力

 リーダーとしての能力

 他のメンバーから学ぼうとする意欲

・執筆チーム

 心理的安全性

 対立する視点

 共有ビジョンの欠如

 未熟なメンバーを指導する必要性

・学術的成果

 スタイルがバラバラ

 話題の逸脱

 メッセージが明確ではない

 大きく貢献していない

 

共同作業の最初のステップは、学習上の問題や臨床環境での問題など、関心のある分野やギャップを特定し、特定のトピック領域や目的に焦点を当てることです。共同執筆の目的は、実際の臨床教育の質を高めることや、特定の分野での知識生成を増やすことです。臨床学習環境は、知識が学習され適用される最も強固な学習環境の一つであり、認知や技能に基づく領域だけでなく、最も重要なのは情緒に基づく領域である。患者への配慮は、深い感情的な経験であり、学習のための学習を超越しています。さらに、学習とパフォーマンスは自然な実践共同体の中で行われ、チームでの学習が個人の学習を大幅に向上させます。

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臨床教育者は、教育資源や査読付き出版物を通じて新しい臨床知識や実践に基づく学習を生み出すことを目的とした執筆グループに不可欠な存在です。臨床学習環境は、知識が学習され適用される最も強固な学習環境の一つであり、認知や技能に基づく領域だけでなく、最も重要なのは情緒に基づく領域である。

 

従来の学問に対する考え方は、多忙な臨床教育者にとって、時間、興味、関連性の欠如のために追求することが困難または不可能であることが多い研究のみに焦点を当てる傾向がありました。

Boyerは学問の認識を拡大し、発見の学問(研究)、統合の学問(分野を超えたつながりを作ること)、応用の学問(知識を実際の問題や実践に応用すること)、教育の学問(教育と学習のプロセスと影響を研究すること)を含むようにした。 発見には、問題とその重要性の記述、知識のギャップの特定、研究がどのようにギャップを縮めるかが必要です。応用には、新しい知識に基づいたフィードバックの取り組みの設計が含まれる可能性があります。学術論文の形式にかかわらず、すべての論文はグラシックの学問基準(明確な目標、十分な準備、適切な方法、重要な結果、効果的な発表、批評)を満たすべきである。

 

執筆チームの形成と維持

共同執筆を行うには、リーダーシップ、マネジメント、フォロワーシップを含むチームとして働く必要があります。共同執筆を行う際には、ビジョンと目的を理解し、論文の焦点が理論構築にあるのか、実用的な意味合いにあるのか、あるいはその両方なのかを理解する必要があります。


共同執筆への体系的なアプローチ

共同執筆プロジェクトでは、「計画」「執筆」「提出」「振り返り」という段階を踏んだ体系的なアプローチが必要です。

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コミュニティの変化

共同執筆グループは、単に論文を書くだけのグループではなく、チーム内の個人の成長と発展を重視し、継続的に質の高い学識を得るための能力をさらに高める必要があります。

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実践共同体(CoP)への深い帰属意識を育むことができ、共同執筆グループは、「共通の情熱を持ち、プロジェクトに取り組み、リソースやスキルを共有する人たちのグループ」というCoPの定義を体現しています7。