医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

医学生の臨床推論能力を評価するための新しい観察評価ツールおよび診察後評価ツール

Validity, reliability and feasibility of a new observation rating tool and a post encounter rating tool for the assessment of clinical reasoning skills of medical students during their internal medicine clerkship: a pilot study

Catharina M. Haring, Claudia C. R. Klaarwater, Geert A. Bouwmans, Bernadette M. Cools, Petra J. M. van Gurp, Jos W. M. van der Meer & Cornelis T. Postma
BMC Medical Education volume 20, Article number: 198 (2020)

bmcmededuc.biomedcentral.com

背景
臨床現場での医学生の臨床推論能力を体系的に評価することは非常に困難である。これは、臨床推論の基礎となるメカニズムの理解が不足していることが原因の一つである。

 

評価方法
私たちは、医学生の臨床実習における臨床推論能力を評価するための観察ツールを開発しました。この観察ツールは、11項目の観察レーティングフォーム(ORT)から構成されている。本研究では、本ツールと既存のPERT(post-encounter rating tool)の有効性、信頼性、実現可能性を検証し、臨床実習中の医学生の臨床推論能力を評価することを目的とした。

 

結果
6 人の評価者がそれぞれ同じ 15 の学生-患者診察を評価した。ORTの内部一貫性(Cronbach's alfa)は0.87(0.71-0.84)、5項目(PERT)は0.81(0.71-0.87)であった。単一測定のクラス内相関係数は、ORT;0.32(p < 0.001)およびPERT;0.36(p < 0.001)のいずれも不良であった。一般化可能性研究(G-study)および決定研究(D-study)では、ORTで0.7以上のG係数を達成するためには6人の評価者が必要であり、PERTでは7人の評価者が必要であることが示された。変動の最大の原因は、評価者と学生の間の相互作用である。ORTPERTの間には0.53の一貫した相関があった(p = 0.04)。

 

結論

ORTおよびPERTは、臨床現場での学生の臨床推論能力を評価するための、実行可能で有効かつ信頼性の高い尺度である。

 

臨床推論のための観察評価ツール Observation rating tool for clinical reasoning ORT
・会話の主導権を握っている

・関連する情報を認識し、対応する

・患者に関連する症状を特定するように問う。

・病態生理学的思考を指し示す具体的な質問をする。

・質問を論理的に並べる

・サマリーを作成することにより、診断的思考を実証する

・患者さんがよく理解されているかどうかをチェックしています。

・ボディランゲージに鑑別診断的思考の兆候は見られなかった

・鑑別診断ができるほどのデータを集めた

・データ収集が効率的だった

・くりかえし問い合わせしていない

 

Post encounter rating tool for clinical reasoning:PERT

・サマリーステートメント

・プロブレムリスト

・鑑別診断

・最も可能性の高い診断を裏付けとしたデータがある

・身体検査計画書 

 

Post Encounter Form for clinical reasoning PEF

・要約文。この患者の提示における最も重要な病歴の特徴を要約しなさい。

 ・プロブレムリスト。最も重要な3つの問題を指摘してください。主な問題から始める

・鑑別診断 あなたがリストアップした主な問題を説明する可能性の高い診断を3つ挙げてください。最も可能性の高い診断から始めてください。

・最も可能性の高い診断の裏付けとなるデータ。 最も可能性の高い診断を支持する3つの主要な病歴を提供してください。

・身体診察診断の計画を立てる。 鑑別診断の結果から、実施することが重要と思われる身体診察項目を3項目記入してください。