医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

高忠実度のシミュレーターでなければいけないのか?(低忠実度のものと比べて)

High-fidelity is not superior to low-fidelity simulation but leads to overconfidence in medical students

Christina Massoth, Hannah Röder, Hendrik Ohlenburg, Michael Hessler, Alexander Zarbock, Daniel M. Pöpping and Manuel Wenk
BMC Medical Education 2019 19:29

bmcmededuc.biomedcentral.com

背景

シミュレーションは、医学生と医師の両方の訓練にとって不可欠になっています。現実性が増し、機能の範囲が広がっている、最新のマネキンは高忠実度シミュレータと呼ばれています。リアリズムの向上が受講者の成果の全般的な向上につながるかどうかは現在物議を醸しており、参加者の個人的な自信と自己評価に対するこれらのシミュレータの影響に関するデータはほとんどありません。

方法

高忠実度または低忠実度のシミュレーターでのアドバンストライフサポートのトレーニングセッションに参加した4年生の125人の医学生が半数ずつ無作為に割り当てられました。テスト前後の理論的知識と自己評価を行い、模擬シナリオでの生徒の行動は、専門家によって記録および評価されました。

 

高忠実度:SimMan3G (Laerdal Medical GmbH Puchheim)

低忠実度:Rescue Anne Simulator (Laerdal Medical GmbH Puchheim)

結果

両グループの参加者は、テスト前と比較して、テスト後の方が、グループ間に大きな違いはなく、理論的な知識に有意な改善を示しました。ビデオ分析で評価したパフォーマンスはグループ間で比較可能でしたが、予想外にも、低忠実度グループのほうがいくつかのサブ項目で有意に優れた結果を示しました。

*有意だったサブ項目:「呼吸制御」、「連続胸部圧迫除細動器の充電中」、「心電図解析」、「電気ショックの間の時間間隔」

調査結果に関係なく、忠実度の高いグループの参加者は、自己評価の前後で、忠実度の低いグループの参加者と比較して、グループの割り当てにのみ基づいて自分自身が有利であると見なしました。彼らの個々のパフォーマンスに関する自己評価された自信もまたかなり過大評価されていました。

結論

高忠実度シミュレーションを使用すると、低忠実度シミュレーションと比較して同等以上のパフォーマンスと知識の成長がもたらされる一方で、過信などの望ましくない影響も引き起こされます。それゆえ、この研究では、それは低忠実度と比較して有益ではなく、むしろ有害な学習ツールであることが証明された。