医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

道徳心理学を医学教育に組み込む必要性

Navigating conflict and difference in medical education: insights from moral psychology. BMC Medical Education 2018 18:273

 

道徳基盤理論というものをジョナサン・ハイトという人(邦訳:「社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学」)が提唱しており、それを医学教育に応用してはどうかという意見。フレームワークを使用すると、いろいろ考えやすくなるが、現時点で、この枠組み自体に批判的な意見もあり、一概に受け入れられるかは疑問ではある。とはいえ、倫理的問題に対して一つの考え方として捉えていいのではないかと思う。

 

Abstract

医学生や医学教育者は、臨床前と臨床の両方のトレーニング環境において、複雑な道徳の不一致や葛藤に直面しています。これらの葛藤を効果的に、そして思いやりに対処することができないことは、望ましくない結果を招き、ヘルスケア環境において関係性を脅かす可能性があります。道徳心理学を医学教育に統合することは、医学生や医学教育者が不道徳や誤った行動に建設的に対応するのに役立つことを示唆しています。ここでは、反動行動を導く直感的な反応を6つの基本的なカテゴリーに分類することができる方法を示す道徳基盤理論(Moral Foundations Theory:MFT)の応用に焦点を当てます。これらのカテゴリは、医療従事者や専門家が倫理的な紛争の解決の助けになる人間の行動に関する心理的説明を提供します。

*道徳基盤理論:「ケア/危害」「自由/抑圧」「公正/欺瞞」「忠誠/背信」「権威/転覆」「神聖/堕落」の6つの大別にしている。

 

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